雛鳥の足跡…9つ ページ9
Aの国には死刑というものがない。
大罪を犯した者は、国王だけが使える力で異世界へと飛ばされることになる。
その力を、女王が…姉が、Aへと向け放ったのだ。
なぜ！とAは悲鳴を上げ消えゆく身体で最後に見た光景は、胸に剣が突き刺さりAの頬を撫で微笑む、姉の姿だった。
どうして！嫌だ嫌だ嫌だ！私も一緒にっーーーー。
叫びも虚しくAは自身の世界から姿を消し、飛ばされた先がマルコと会った場所であったと…そう話し終えた。
しんと静寂が訪れる部屋に、どうして異変に気づけなかったのだ、どうして私だけ、どうしてお姉様は…とAが嘆く声だけが響く。
誰も助けることが出来なくて、せめて目の前で撃たれそうになっていたマルコだけでもと、罪滅ぼしのようなものだったのだとAはそう言ってさめざめと泣いた。
泣くAを摘み、白ひげはマルコへと差し出した。
マルコは戸惑ったが受け取り、そっと抱き込んで落ち着かせるように背を叩いてやる。
｢おれは、オマエの姉の気持ちがよォくわかるぜェ｣
そう言って白ひげに射抜かれるような視線を向けられ、Aはビクリと肩を跳ねさす。
今日はこれでお開きだと、話してくれてありがとう、ゆっくり休めと頭を撫でられた。
扉を出た先では、隊長たちがマルコを助けてくれてありかとうなと代わる代わる頭を撫で去って行った。
｢船医室、戻るかい？｣
｢…少し、風に当たりたいです｣
そう言えば、景色がよく見えるブリッジへと連れてきてくれた。
そっと降ろしてもらって床にペタリと座り込めば、隣にマルコも腰を下ろした。
無言の二人の間をさらりと風が流れていく。
ふと、マルコが頭を撫でた。
｢…辛いかい？｣
｢…はい｣
そう聞かれ、何か思案するように膝の上に置いた手をもじもじさせる。
｢私、親の顔って知らないんです。うんと幼い頃に事故で亡くして…｣
肖像画では知ってるんですけど…と、先程白ひげたちの前では語られなかったことを話し出した。
Aにとって、18歳離れた一番上の姉が母のような存在であった。
姉自身早くに親を亡くし、若くして国を治めなくてはならなくなったというのに、忙しく大変であったはずなのに、毎日愛情いっぱい注いで育ててもらったと。
Aの国へと婿にやってきた姉の夫も、父のような存在であった。
姉同様に愛情をたくさん貰ってきた。
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もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです！！ (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな？って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます！このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です！続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年9月17日 4時
