10.世界が君を拒んでも、誰も彼もが君を憎んでも、存在意義を見つけられなくても ページ13
NO SIDE.
敦が顔を上げれば、敦の前にしゃがみ込むA。
真っ暗な中で、シルエットだけが夜の僅かな明かりに照らされて浮かび上がるAは酷く儚かった。
でもそんな姿の儚さに相反するように、Aは力強い声で言葉を続ける。
『“駄目なやつ”?それ、誰に言われたの?孤児院の人たち?今まで周りにいた人たち?』
敦「え、あ」
畳み掛けるように質問するAに敦はしどろもどろになる。
そんな敦に小さく息を吐き、Aは敦の肩を掴んで目をしっかり合わせた。
『いい?他人からの評価なんて、あくまでその人からみた価値観なんだよ。その人からみて“駄目なやつ”ってこと。そんな風に自分のことを思ってくる人のこと、別に敦は好きじゃないんじゃないの?』
敦「そりゃあ…好きじゃないし、嫌いだけど…………」
『じゃあいいじゃん!言っとくけど敦は駄目なやつなんかじゃ、微塵もない。生きてていいし、笑っていいし、こうやって存在意義を認める人もいる』
敦「え?」
『僕だよ、僕。…信じられないんなら、今この瞬間に誓おう』
そして彼女は、敦の目を見てはっきりと言い切った。
『世界が君を拒んでも、誰も彼もが君を憎んでも、存在意義を見つけられなくても。僕だけは君を認めるよ』
敦「あ………」
──その瞬間、敦の目には強い光と涙が浮かんだ。
それでも、月の光は窓から差し込んだ。
太宰「…却説そろそろかな」
ガタンッと聞こえた音に怯える敦と、それをなだめるA。
2人に太宰は声をかけた。
太宰「そもそも変なのだよ」
太宰はゆっくりと言葉をつむいでいく。
経営不振だからと言っても養護施設は子供を追い出したりしないこと、
経営が傾いたのなら一人だけを追い出すなんて明らかにおかしいこと。
太宰「君だけが分かっていなかったのだよ。月下にて、身に飢獣を下ろす……
───君も、異能の者だ」
そんな言葉とともに敦には月光が当たり、
敦は、月下で猛々しくも美しい白虎となった。
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宵凪(プロフ) - ただの一般人さん» ひょえわぁ!?!?めちゃくちゃ褒めてくださる……✨✨✨めっちゃ励みになります、ほんとにありがとうございマス…!!これからも更新頑張ります、ぜひ2もよろしくお願いします〜〜!! (2023年4月20日 7時) (レス) id: 828efe0dfb (このIDを非表示/違反報告)
ただの一般人 - すっ…すごい…!!絵も物語も上手いだなんて…。宵凪さんの文の書き方と絵柄が、めっちゃ好きですちょっとわけてくれませんかお願いします(切実)カゲプロも文ストも好きなのでもう…ダメだ好きすぎた(遺言) (2023年4月20日 2時) (レス) id: 3f9059dfb5 (このIDを非表示/違反報告)
宵凪(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙さん» りりりさんありがとうございますッッ!!㊙エピソード好評で何より……!これからも頑張りマス!応援ありがとうございます!!! (2023年2月19日 10時) (レス) id: 47abe22f42 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙(プロフ) - 途中で出てくる㊙エピソードと一緒に読むと更に楽しめて良いと思いました!!続編も出てるみたいなので拝見させて頂きます!あくまでもご自分のぺースで頑張ってください…!! 長文失礼いたしました! (2023年2月19日 1時) (レス) id: 287586b201 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙(プロフ) - 遅くなりましたが、イベント参加ありがとうございました…!! 夢主の目の設定がかっこいしテンションブチ上がってる中垣間見せるクールな一面が素敵だと思いました!! というか織田作…めっちゃ気になるし敦君の想いがどうなっちゃうのかも気になります… (2023年2月19日 1時) (レス) id: 287586b201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宵凪 | 作成日時:2023年1月22日 12時