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突如響いた爆音に、資料を前に船を漕いでいた京本の肩が跳ねる。
それは樹が拠点の扉を勢いよく開けた音だった。
先程帰った北斗と慎太郎、資料を探る京本、ついさっき目を覚ましたジェシー。全員がぽかんと彼の顔色を伺う。
「何....、どうしたの」
「いたよ、目撃者。」
その言葉に、一同は目の色を変えて樹に駆け寄る。ぐしゃぐしゃになったメモと小型の電気装置を机に広げる。見たことのある形状に京本は口を開いた。
「それ...録音機?」
「そう。前マーケットで買ったの使ったけど、ボロいから音途切れ途切れだわ。
メモと合わせながら聴いて。」
ベッドから這い出たジェシーはさっきまで眠っていたとは思えないほどの形相でメモを見つめていた。
「再生するよ」の声に全ての音が無くなる。
『ーー....るまに、変...人が乗ってて、ーー見たとない人...』
砂嵐のような音に混ざって少女の声が流れ出す。メモには【車 見覚えない人】と殴り書きされている。
『ー、ガスの匂いがしなくて、変だなって...ーーーーーいつも臭ー...たから....』
【ガス匂いなし】
眉を顰めたのは北斗だった。
廃都にガスの匂いがしない車などあっただろうか?天都から流れてきた自動車は旧式であり、ろくな手入れもされていない。整備できるパーツや道具も中々手に入るものでは無いし、この環境でいちいちガスを気にする人などいやしない。
考えられるのは相当の潔癖症の人物がいたか、それとも...。
録音機から樹の声が聴こえる。
『ナンバープレート...数字が書ーー...板はついてた?』
『ううん、なかった...。』
【プレートなし】
『あんなくるま、見たー...ないの。ぴかぴかで、でも窓ーーいてなくて、』
【車 綺麗 窓がない】
『他ーーかある?』
『わかん、ない。....怖くて、ーー...』
『ちょっと、これ以上は』
少女のしゃくり上げる声が聴こえ、母親と思われる女性が立ち塞ぐ様子が想像出来る。気持ちはわかるがこっちだって緊急事態である。『すいません、でも』と食い下がる樹のかたわらで、少女がもう一度喋り出す。
『ーくるまの、タイヤの近ー...に、
9と、もじが書いてあった。』
【9 SR】
「9区のサナトリウムだ。」
「え?」
「SRってサナトリウムのことだよ。1回見たことあるから分かる。」
西の資料集めよう、ときびきび指示を出す慎太郎の言葉に、北斗が弾かれたように動き出す。
慎太郎の言葉には確信があり、全員それを信じていた。
....彼は、元々天都の住人だったからだ。
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
