1.◆Research ページ5
「いいえ、わからないわ...。力になれなくてごめんなさいね。」
「いや....大丈夫です。」
申し訳なさそうに頭を下げる老婆を前に、大丈夫なわけあるもんかと樹は心の中で毒吐いた。
グチャグチャに荒らされた部屋と血痕だけを残して消えた高地は、この5日間まだ帰ってきていない。半狂乱になりながら宛もなく外へ飛び出そうとするジェシーをベッドへ縫い付け強制的に眠らせた北斗は「もう嫌だ」と珍しく弱音をこぼした。あれだけ暴れた奴はいびきをかいて寝ているが。
メモしようと思って持ってきたノートは真っ白で、ため息を着く。余りにも手がかりがなさすぎて、焦りどころかうんざりさえしてくる。
参考人になると思った軍人はあれから訳の分からないことを叫び、自ら舌を噛んで死んでしまった。
そのままとぼとぼと道を歩いていると建物の影で親子が蹲っているのを見つけた。グスグスと泣きじゃくっている娘を母が必死にあやしている。
「...どうかしたんすか。」
本当に、ただの気まぐれで話しかけた。
「あぁ、いや.....この子、街に出るのが怖いって。」
「急に?」
「そうなの...。今度こそ車に轢かれちゃうって。
不思議よね?車なんかそうそう通らないのに。」
...6区は砂埃が酷いため、視界を取られてしまう。
そのため車の運転はある程度の技術を持っている者しかできないのだが、廃都に運転をかじったことのある人はごく一部だ。樹は独学と経験で優れたドライブテクニックを持つが、彼は先日以来運転席には座っておらず誰かを轢きそうになった記憶もない。
肩を震わせる少女の前にしゃがみ、目を合わせながら問う。
「どんな人だった?覚えてる?」
「...わかんない......。」
少女は樹と数秒目を合わせたあとすぐ顔を覆ってしまい、またしゃくり上げる。どうしたものかと頭を搔くと、目の前の小さな彼女はぽそぽそと口を開き出した。
「あのね...すごく怖くて、はやかったの。急いでるみたいに....。砂がばあってなって、目も痛かったの...。」
「急いでる?」
ここに住んでいるものは砂嵐が巻き起こることを知っている為慌てて動くようなことはしない。ましてや車を走らせる上では、人がいるところでは被害が及ばないようにするという
ごくりと息を飲むと、隣で聞いていた母親も冷や汗を垂らしていた。
つまり、この土地の人間ではない者がいたのだ。
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
