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3区から来た男を、2人は他に知っていた。
"ある少年"とはぐれた後船に乗って1人で6区にきた彼。色々なサナトリウムに潜入するたびしきりに資料をあさって"ある少年"の手がかりを探していた彼を、知っていた。
「...さっくん?」
「にゃは、急にあだ名〜?いいけどね!好きにー...」
「背中に翼の生えた男を知っていますか?」
北斗の問いかけに、小柄な男...佐久間の表情が固まる。隣の向井はギョッとした表情で唾を飲んでいた。先程まで騒ぎ立てていた2人が一気に押し黙り、樹は一帯の空気が冷えていくのを感じた。
「...京本大我って名前、聞いた事ありますか?」
「...........大我。」
消えそうな声でポツリと、しかし確かめるように呟く。
次第に唇がわなわなと震える。グッと堪えて佐久間は言葉を紡いだ。
「大我、わかるの?」
「わかります。俺らの仲間です。3区から6区に流れ着いて、迷っていた俺達を仲間にしてくれた人。」
「大我、大我...。今、どこにいるの?」
「このサナトリウムに潜入してます。」
不意に、佐久間の大きな目からぽろりと涙が零れる。慌てて拭うが続いて流れた涙は地面にシミを作った。
隣の向井も震える声で「...見つかった」と呟いた。
向井は肩を震わせる佐久間をそっと引き寄せた。京本と同じ年数、佐久間も探していたのだろう。こんな状況だが、1つの光が見えた光景に北斗は胸が熱くなる感覚を覚える。
「本当に、よかった。」
涙混じりの声で確かに聞こえた言葉。
グスンと鼻をすすりながら目をこする。顔を上げた佐久間は、少し目を赤くしながらもその眼差しに決意を宿していた。
「ねえ、協力しよう。」
「...協力?」
「俺達、8人で来てるんだ。「忘却病」...ラウールって子を探すためにね。
アラートによるとそっちの人と一緒に行動してるんでしょ?大人数で探して、一緒に脱出しよう!」
「あっちょお待って...インカムは壊れてないな。こっちはいつでも照兄と連絡とれるで。」
「俺達は5人で来てます。人数は少ないけどきっと役に立つ。連絡できる手段はないけど...。」
「じゃあお宅の仲間も探すよう伝えよか。」
2組はそれぞれ共通の目的を持って動き出した。レジスタンスと解放軍、総勢13人が囚われた2人のために拳を合わせる。
この結託が後の運命を左右することを、4人はまだ知らない。
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
