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鋭い激痛に対応する暇もなく地面に叩きつけられる。胸部を強く圧迫され一瞬息が出来なくなり、ゲホゲホと噎せる。生理的な涙で滲んだ視界は、無機質な天井と顔を真っ赤にした軍人で覆われた。
どうにかして抜け出そうと体を動かすが断続的な腕と肩の痛みで思うように動かせず、それに気付いた相手は高地の肩と首を押さえつけた。
「ッげほ、う....」
「やっと見つけたぞ.....。ちょこまか動きやがって、絶対ぇ許さない...!!」
目を充血させた軍人は同じ人間とは思えないほど激情しており、正気だとは思えない。彼は勢いよく首の真横にナイフを突き立て、ぎょろりと部屋を見渡した。
「もう1人は....隅か。まぁあいつは後でいい。どうせ薬が回ってロクに動けやしないんだろう!?」
唾を散らしながら口角をあげて、軍人は自分より遥かに年下の青年を嘲笑う。それを聞いてもぴくりとも動かないラウールに、軍人はまたもや狂気的に声を上げて笑った。良いざまだ、と。
「.......のか」
「あ?」
「お前は、何とも思わないのか...?」
しばらく考えこんだ後、ゆっくりと首を傾げる。今度は高地の顔がカッと赤くなった。
「お前はッ何もしてない子供が、人間が、牢屋に入れられて訳の分かんない薬入れられて、廃人になっていくのを見てもなんとも思わないのかって聞いてるんだ!!!!」
...数秒の沈黙。声を荒らげて肩で息をする高地とは対称的に、軍人はぽかんと口を開けているだけだった。
そして次第に、ゆっくりと笑う。何が面白いのか微塵もわからなくて眉間にシワが寄った。
「ここにいるのは、人間1人と鼠2匹ではないか。」
ーこいつらは、本当に
涙が頬を伝う。やるせなさが胸を支配して、失血とは別に頭がくらくらする。薄々気付いていたが知らないふりをしていただけであって、自分達の声は彼らに1つも届いていなかったのだ。
ぐっと首が締まるのを感じて息が詰まる。いつの間にか床から抜かれたナイフは、高地に焦点を合わせた。
「お前が最後に言いたいのはそんなことだったのか?もう少し何かあるだろう、鼠なりの命乞いとかさぁ!!!」
嗚咽さえ漏らせない。慣れたと思っていた絶望が耐えられない。
ごめん、俺もう無理だ。
歪む視界に瞼が降りようとした瞬間...
軍人の体が、真横に吹っ飛ばされた。
「こーちッッ!!!!!!」
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
