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別のファンタジスタが収容されていたであろう部屋には人気がなかった。おそらく全員朝食のため大広間へ出払っているのだろう。
人目につかないうちに適当な部屋に入ろうとすると、そこには鍵がかかっている。試しに奪った鍵を手当り次第差し込むと、4つ目ほどの鍵が回った。どうやらほとんどの部屋の鍵を開けられるらしい。
手を繋いで行動していたラウールの目はずっと虚ろを見つめており、手を離すとだらんとそのまま下ろされた。完全に意思を忘れてしまった彼を、高地はぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫...。大丈夫だから。」
いつしかそれは自分に言い聞かせるように呟かれていた。
2人が入った部屋は資料室らしい。棚に雑然と並べられた紙類によって入り組んだ構造になっている。奥に入ってしまえば見つかり辛くなるが、それは同時にこちらからも敵の接近に気付きにくいということだった。
ゆっくり慎重に進む。
人影を気にしながら歩いていると、真後ろからガタンと音がして腕が引っ張られた。振り返ると棚に躓いたラウールが床にへたれこんでいる。彼は変わらず何の反応も見せず、高地は胸が締め付けられる感覚がした。
しかし敵ではなかったと胸を撫で下ろしたところで、先程の衝撃で落ちた本が目に入る。
「「花泥棒と神様」...?何でこんなところに絵本が...。」
怪しんで拾ってみると、ジェシーが買ってきた本と同じタイトルだった。しかしそれとは似つかぬほど分厚く、古びた装飾が施してある。ページを捲るとまた古臭い紙質を感じる。
ーなぜこんなことになってしまったの
ーただ生きてただけなのに、どうしてこんな思いをしなければならないの
ー誰か助けて下さい、お願いです でなければ私は...
ー神様 なぜ私を見捨てたのですか
1ページ目とは思えないほどの悲痛な思いが綴られている。なんだか自分達の境遇に似ているような気がして、言い表せない悲しみを覚えた。
またページを捲ろうとしたその時、部屋の外からバタバタと足音がする。
「...つ......げ出したぞ、探せ!!」
「見張りは!?」
「死んでた...。クソ、やられた!!」
ー...もうバレたのか!?
瞬時に棚に身を潜め音が過ぎるのを待つ。幸い資料室へは入ってこず、そのまま先へ走っていったようだ。しかし居場所が見つかるのも時間の問題であり、うかうかしてられない。
読んでいた本を床に投げてラウールを立たせ、次の行動に思考を巡らせた。
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
