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翌朝、日課として1人の軍人はファンタジスタの収容された部屋を回っていた。端から順に状態を書き記していき、ついに最後の部屋まで行き着く。
「29番、30番。起きているか?」
扉を開けると、29番「忘却病」が壁に反って体育座りをしている。声をかけても目を虚ろにしてぴくりとも反応しない様子を見る限り、TRAGがよく効いているようだった。
手に持った帳簿に「進行:良好」と記したところで違和感を覚える。
「...30番、返事をしろ。」
部屋を見渡して、1人だけしかいないことに気付く。背の高い「忘却病」の陰に隠れてまだ眠っているのだろうか。
そう思って1歩踏み出した時だった。
「...ッぐっ!?」
視界が真っ暗になり、強い衝撃を感じて床に倒れ伏す。仰向けになった軍人に30番「テレパス」が跨り、その首に手をかけた。
「.....っ、キッ...さまァ.....っ!!」
逆光で顔が見えづらいが、「テレパス」の目はギラギラと憎しみで燃えていた。華奢な腕のどこから力が湧いてくるのか、ギリギリ首を絞め続ける手を剥がそうとするが既に酸欠で震えた手では敵わない。足をばたつかせようにも彼の下半身で強く固定され、動くことさえもできない。
視界が真っ赤に染まっていき、口からは僅かな空気が漏れるだけ。四肢の感覚がだんだんと薄れていき、黒目がぐるんと上に回って...
ゴキン、と重い音がした。
高地は視界を奪った毛布を投げ捨て、音を立てないよう扉を閉める。
泡を吹いて動かなくなった軍人を転がして、服を剥ぐ。ズボンや上着のポケットにはナイフや小型の銃が入っており、扉を開けるためであろう鍵やカードキーもたっぷり持っていた。念の為身体を触って確認し、インカムなどの電子機器は持っていないことを確認する。そのまま軍人の上着を羽織って、入りきらなかったアイテムは自分のポケットに詰め込んだ。
「ラウール、聞こえる?」
しゃがみこんで目を合わせようとするが、反応はない。
「もう少しだから。もう少しでここから出れるし、正気にも戻れるから、後ちょっとだけ頑張ろう。」
念の為ラウールのポケットにも奪ったスタンガンをねじ込み、手を取って立たせる。少々ふらつきはしたが、歩くこと自体には問題ないらしい。
そっと扉を開けて周りに誰もいないことを確認する。
ラウールと手を繋ぎ、覚悟を決めて部屋から飛び出した。
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
