ツンデレ彼氏の妬かせ方〜Yuri.C〜

妬いてください#09 Yuri ページ9

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「…………」





昼休み、

食事が終わったらいつもどおり本を読む。



そう、いつもどおり…。





だけどページが進まない。

さっきからずっと進んでいない。





昨日はすらすら読めていたのに。





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理由はちゃんと分かってる。

それは、目線が本に定まっていないから。








漢字が多いから？

眠たいから？

この本がつまらないから？



ちがう、そんなんじゃない。




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心の中で不毛な自問自答を繰り返す。

そんな僕の目線の先には、






僕の親友の隣で笑う、彼女の姿。






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「慧、ちょっと来てー」


「どうしたの？」





呼び捨て…。

僕はまだ、下の名前すら呼んでもらったことないのに。






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ねぇ、

その笑顔を見せるべき相手は、ここにいるでしょ？






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「A、あの雲見て！うさぎみたいだよ」

「ほんとだ！」





なんでそんなに嬉しそうなの？


僕以外の男に気安く下の名前で呼ばせて、

笑顔振りまいて、なんなの。





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「…はぁー」





ダメだ、全然集中できない。

Aが伊野ちゃんと仲良くなりだしてから…ずっと。




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ねぇ、君はさ。

誰の彼女か分かってる？



たくさん告白されてモテモテの彼氏がいるのに、放置するの？

とられちゃう、って危機感はないの？







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そんなとき、突然こちらを見たAと目が合う。



いつもなら冷静に視線をそらしたり、照れ隠しで文句言いに行ったりするのに、

今はそれができない。






するとAは、ぽかーんと見つめるだけの僕を不思議に思ったのか、



ニコリ、と微笑む。






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かわいい。やっぱり好きだな。

なんて、素直に言えたらいいのに。

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