大好きなんです#LAST ページ46
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ピコン、とスマホの通知音が鳴る。
見るとそれは、侑李からのメッセージだった。
"コートまで降りてきて"
それを読んではっとした私はコートに視線を向ける。
目が合うのを待っていたかのように笑った侑李が、
私に手を振った。
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「これ、差し入れです」
昨日の夜に作ったはちみつレモンを渡す。
ありがとう、と言いながら受け取った侑李がさっそく蓋を開けた。
「うわ、すご、Aこんなの作れるんだ」
嬉しそうな表情を見ると、
さっきまでの不安が消えていくような気がした。
それでも、侑李は一枚上手で。
「僕のかわいい彼女が暗い顔してるのはなんでかな?」
そう言って、首を傾げた。
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「……そう見える?」
「見えるから聞いてるの」
どうやら彼には敵わないらしい。
隠し通す演技力も語彙力も持ち合わせていない私は、
「…妬いちゃったの、
周りの女の子が侑李の応援してたから、とられちゃいそうな気がして」
正直に白状した。
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すると彼は突然しゃがみ込んだ。
「侑李?」
同じようにしゃがみ込んで彼を見たら、
顔は赤みを帯びていた。
見ないで、と彼は腕で顔を隠す。
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そして、
「ほんと、かわいすぎ、」
ほんの少し上目使いでそう言った。
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「かわいくなんてないよ…、」
どこのことを言ってるのかは分からないけれど、
今の私の沈んだ顔も、醜い感情も、全然かわいくない。
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「ねぇA、何で妬いたの?」
何で?
そんなの決まってる。
「侑李が、好きだから」
答えを聞いて、彼はにこりと微笑む。
「僕もAが好き。
大切で、大好きだからこそ、嫉妬しちゃうんだ」
慈愛に満ちた彼の瞳が揺れる。
きっと、侑李と私のすれ違っていた日々を思い出したんだと直感した。
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「僕たちは同じ気持ちだから、大丈夫」
そう言われて気づいた。
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心の片隅で、私もずっとヤキモチを妬いていたんだと。
"あの作戦"を決行することで、…その感情から逃げていたんだと。
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まもなく後半戦開始の集合がかかる。
彼は立ち上がり、
「応援お願いね」
ふわりと笑う。
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全てを包み込んでくれる、君の優しさが大好きだ。
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「侑李…っ、がんばれー!」
試合再開の、ホイッスルが鳴り響いた。
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END
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美香 - 初めまして!めっちゃ知念君格好いいわ!完成おめでとうございます! (2018年1月31日 22時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
衣月(プロフ) - 知念担かつ弓道部員なのでこのお話すごくいいです!更新頑張ってください! (2018年1月7日 19時) (レス) id: 393bdf7cd9 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 読みましたよ、~!更新おつかれさまでした。もちろんです!ずっと応援してますよ!頑張ってください! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - の んさん» 書き直すかわりにafterstoryを追加しましたので、よければ読んでみてくださいね(o^∀^o)ぜ、全部…!?わわわっ、嬉しい限りですー!ありがとうございます☆これからも応援お願いします! (2017年12月30日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 察しがつきました ! 笑 そんなことないですよ!作品を読んでて知念担のわたしにとってはめっちゃきゅんきゅんしました!笑 もえあさんの作品すごく好きですべて読ませていただいているのでこれからも頑張ってください!長文失礼いたしました。 (2017年12月30日 18時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もえ乃 | 作成日時:2016年6月4日 21時