参りました#45 ページ45
*
*
「……あ、」
待ちに待った土曜日。
暑くなるって天気予報で言ってたから、
今日は思い切ってオフショルのワンピースを着ていくことにした。
.
「侑李ー!」
愛しの彼を見つけ、小走りで駆け寄る。
「A、来てくれてありがとう」
「うん!…って、なんか素直」
「……悪い?」
侑李がぶぅっと唇を尖らせて拗ねるのはお決まりだ。
「悪くない!」
その表情を見せてくれることがすごく嬉しい。
.
.
「…Aさぁ、肌出しすぎじゃない?」
私のコーデをまじまじと見てそう言った。
「そうかなー?」
ワンピースをドレスみたいにつまんで広げる。
.
.
「…これ着てて、」
侑李は自分の着ていたジャージを脱ぎ、
私に半ば押し付けるように渡した。
「そんな可愛い恰好、他の男に見せたくない。
だからジャージ着て」
侑李は急かすようにして捲し立てた。
渡されたものを見て、思わず顔が綻ぶ。
夢の彼ジャージだ。
「おっきい、」
「当たり前でしょ、僕のなんだから」
顔を見合わせて笑う。
.
「もうすぐ集合かかるから、そろそろ行くね」
「うん!がんばってね!」
すかさず応援の言葉をかければ、
「…ちゃんと見ててね?」
彼はデレる。
.
私は小さな幸せを噛みしめながら、
背番号が書かれたユニフォームを着る彼の背中を見送る。
*
*
大歓声の中、試合は始まった。
俊敏にコートを走り回る侑李が眩しく感じる。
.
"侑李くんがんばれーっ"
夢中で彼を追いかけていたら、ふとそんな声が聞こえた。
周りを見れば、他校の生徒だろうか。
おそらく侑李のファンの子が観覧席から必死で応援していた。
.
侑李はモテる。それは周知の事実であって、今さらだ。
ちゃんと頭では分かっているのに、
なぜだか胸がキリキリと痛む。
.
.
そんな私をよそに、得点を決めた侑李。
ガッツポーズをしながらこちらをみて微笑んだ気がした。
トクンと高鳴った胸。
けれどそれは、ファンの子の黄色い悲鳴によってかき消される。
.
別に、私に向けてやってくれたわけではないんだな、なんて。
底知れない不安と、ぶつけようのない苦しさで、
気が付けば前半戦が終わっていた。
2068人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美香 - 初めまして!めっちゃ知念君格好いいわ!完成おめでとうございます! (2018年1月31日 22時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
衣月(プロフ) - 知念担かつ弓道部員なのでこのお話すごくいいです!更新頑張ってください! (2018年1月7日 19時) (レス) id: 393bdf7cd9 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 読みましたよ、~!更新おつかれさまでした。もちろんです!ずっと応援してますよ!頑張ってください! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - の んさん» 書き直すかわりにafterstoryを追加しましたので、よければ読んでみてくださいね(o^∀^o)ぜ、全部…!?わわわっ、嬉しい限りですー!ありがとうございます☆これからも応援お願いします! (2017年12月30日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 察しがつきました ! 笑 そんなことないですよ!作品を読んでて知念担のわたしにとってはめっちゃきゅんきゅんしました!笑 もえあさんの作品すごく好きですべて読ませていただいているのでこれからも頑張ってください!長文失礼いたしました。 (2017年12月30日 18時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もえ乃 | 作成日時:2016年6月4日 21時