星に手を伸ばして

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もう少しで建物の中に入れるというところで立ち往生してしまう





このまま濡れたら今野先生に確実に怒られる






あの人普段優しいけど怒ると怖いんだよね…








でもでも、このまま置き去りにされて濡れてくサッカーボールも可哀想！



サッカーボールには愛着が湧いちゃうんだよぉ…




でもなぁ…怒られるのも嫌だしなぁ…辛くなるの俺だしなぁ…



























北「…んもう！」







ギシッと車椅子を鳴らしながら逆戻りする







だって……！だってやっぱりボールが可哀想じゃん………！











雨はザーザー容赦なく打ち付ける










濡れた土と芝生の上はどうも車椅子を動かしにくい





北「あ…」





どうしよ、タイヤはまった…………






タイヤをガタガタ弄ってみても車椅子ごと揺らしてみても抜けない






サッカーボールまでは１０メートルちょい














あぁもう！この際どうにでもなれ…！












車椅子を降りて久しぶりに自分で歩く











意外にもサッカーボールのところには直ぐについた









やっぱり車椅子なんかなくても楽勝じゃん？












北「よーいしょー…」











そのまま車椅子をぬかるみから引き抜いて中庭の屋根のあるところに置いた





濡れたまま院内に入れるのもあれだし
















車椅子はいつもの視線が違ってちょっと楽しいけど、やっぱ歩くほうがいい




だってthe病人！って感じだし、なにより疲れるもん(笑)












理「みつ……？」


北「お？」









理輝じゃん、ちょうどいいとこに











北「ほれ、忘れ物」


理「あっ……とってきてくれたの？」


北「ん」


理「…みつ、濡れてる」


北「感謝しろよ〜？雨ん中取ってきたんだから」


理「ありがと…！」





ぱっと笑う理輝の頭を撫でて自室に足を向けようとする












「あっりき！やっと見つけたー…」


理「A！！！」


A「先生探してたよ？点滴じゃない？」


理「うげぇ」


A「もー、部屋戻るよ…(笑)」




理輝と話すAさんとやら人



俺と目が合うと あ、こんにちは と軽く頭を下げ、感じのいい笑顔をこちらに向けた

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