すみません、身体が欲しいハンターです

98日目 ページ20

ー数分前ー

『巫山戯ないで頂戴‼ 亡くなった人を閉じこめて、その人達に人を殺すような真似をさせるなんて…！サバイバーも人間よ！過去に何かしていたとしても、この様な事は許されないわ‼』

「貴女もサバイバーに対して冷酷な扱いをしているじゃないですか…。自分の目的の為になら彼らを刺し殺すのも厭わない。前の試合では逃したとはいえ、所詮唯のエゴです」

そんな事はわかっている。人間なんてそんなものよ。

「あと貴女の願いならもうすぐに叶いますよ。自分だけの身体が欲しい、でしたっけ。私も貴女の片割れの持つ力は厄介だと思っていたのでちょうど良かった」

『…まさか‼』

あの子が…荘園主に消されるの…？助けないと…でも、何処に…？もう、嫌よ…あの子が本当に消えてしまうなんて…！すると、耳が壊れそうな歌声が部屋の奥から聞こえた。この声は…！

「…っ⁉」

ばれないように脚の包丁を抜き、それで邪魔をしようとする荘園主を刺した。主が一瞬怯んだ隙を突いて
歌声の方に行く。隠し扉を開くと、籠の中に小さくなったあの子が居た。

やっぱり私を覚えていないけれど、今はそんな場合じゃない。籠を抱えて部屋を飛び出した。

ーーーー
ーそして現在ー

『私、慶寺A！君は？』

『(人)よ』

『苗字は無い感じ？』

『…あるにはあるわ』

『そうなんだ』

喋りながら逃げるのって大変ね…。主も前みたいに荘園を変えたみたい。外部に助けは望めないかしら。

前に一度、この子に記憶の共有をした事がある。さっきの話で思い出したのだが、確かに私はサバイバーやハンターに意識の共有を施し、まるで最初から死人が出ないゲームだと思い込ませた。

なら思考の共有はできる…？


『…誰でも良い。Aを助けて…』


お願い、届いて…‼

ーーー

別人格の2つ目の力は「意識、記憶、思考の共有」
過去回想シーンの最終でよくよく探せば書いてあります。

また彼女は夢主の力の制御役でもあり、夢主は別人格の許可なしに力は使えません。

別人格は未来こそ見えないものの、危機察知能力は微力ながらある為、彼女の意識を共有して力を使っていました。

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