と ページ11
「で、喧嘩したん？」
と、話を聞いてくれるのは、毎度の如く俺に何かしらを奢らせる重岡。今日はちなみにカツカレー。
「喧嘩っていうか…俺がキレただけって言うか…」
「はぁ？」
「だって、いきなりネガティブなことをばーって言い出すからつい『ええかげんにせぇ！』って言ってしもて…」
「はぁ…そっかー」
と、ため息をつくと、カレーに乗っていたカツをこれでもかと頬張る。
しばらく咀嚼して飲み込んだのか、俺に真剣な目で話しかけてきた。
「2人とも、ちゃんと会話しとるんか？」
「えっ？いやまあ、してるつもりやけど…」
「ちゃう。俺が言っとるんは、お互いにちゃんと好きなのかって伝えあっとるんかってこと」
そう言われれば、最近A先輩に好きって伝えてなかったかもしれない。
A先輩の方も、俺にそういう言葉を言うことは最近は無かったかもしれない。
「なんとなく、言わんでもわかるやろって思っとったかも知らん」
「せやろ？アカンねんなそれ。ちゃんと言葉にして言わんと伝わらんこともあるんやで？」
「せやな…」
「そういう言葉の少なさが原因ですれ違いが生まれて別れるカップルだっておるんやぞ」
「なんや、凄い恋愛の達人みたいなこと言うやん」
と笑いながら茶化すと、重岡は同じように笑いながら
「俺心理学学んでんねんで？卒論のテーマにしとるしー」
と言ってきた。
「そなんや。でも、重岡が恋愛をテーマにするなんて意外やん。なんかあったん？」
と聞くと、途端に苦い顔をする重岡。
「…まぁな」
「なになに？気になるやん」
と、少しからかいながら言う。
すると、重岡は悲しそうな顔で
「…振られてん」
と言った。
「えっ？」
「だからぁ！彼女に！振られたんよ！！」
「えっ？」
「絶対面白がっとるやろ！はぁリア充で羨ましいこと」
と言い、わざとらしく泣き真似をする重岡。
「別に可愛ないで」
「うっさいねん！」
と、少し涙目で返す重岡。
「てか、重岡に彼女がいたなんて初めて知ったんやけど」
「言ってへんもん」
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作者名：とらい | 作成日時：2019年7月16日 22時
