アメフリレインボウー2ー (ページ5)

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#5 nimbostratus ページ5

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夏の始まりの夕方の空は

日が延び始めて外はまだ明るかった。

「ここって……」

てっきりお祭りにでも行くのだと思い込んでいた私が

「行きたいとこあるんだよね～」と言う髙橋くんに

導かれるまま電車に揺られて辿り着いた先は

都心に位置する大規模なイベント会場だった。

ライブを行なっているアリーナや

広場ではお祭りみたいに屋台が出ていたり

そして某テレビ局のビル内でのアトラクションなど

＂夏祭り＂と題した、複合施設での

夏休み期間のイベントが開催されていた。

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そう。私が間違っていなければ

ここは、永瀬くんが携わっている仕事の…

『行こ！』

目を輝かせて飛び跳ねるように歩き出した髙橋くんは

知っているんだろうか。

永瀬くんが、ここにいるかもしれないってこと。

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子供から大人まで集うこの場所は楽しかったし

髙橋くんは、私が好きないつもの髙橋くんだった。

だけど、上手く笑えていない自分に気づいて

会話の内容もほとんど覚えていなくて

唯一覚えているのは、無理やり話を繋げようと

「髙橋くんって兄弟いるの？」なんて

初対面の人相手に聞くような質問をぶつけたとき

『姉ちゃん。世話が妬けるんだよね』

と、以外な答えが返ってきたことだ。

どちらかというと世話を妬かせているのは

髙橋くんの方だと、勝手なイメージを持っていた。

『今日は彼氏とお祭り行ってるんだけどさ。

いろいろ鈍臭いから放っておけないんだよね。』

「お姉さんのこと、大事に思ってるんだね」

『ん？…まあ、家族だからね』

いつもの優しい表情を浮かべながら

そう話していた髙橋くんを見たとき

硬く結んでいた緊張の糸が緩んで、私は安心した。

やっぱりいつもの髙橋くんだと。

安心して、油断していた。

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