アメフリレインボウー2ー (ページ38)

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#38 pouring ページ38

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人の噂も七十五日というけれど

あれは本当かもしれない。

あれだけご丁寧に作り出された噂話は

木枯らしが吹き散っていった枯葉のように

みるみるうちにどこかへ消え去っていった。

もちろん人の記憶から消えたわけでもなければ

周りの環境が元通りになったわけでもないけれど

一生続くんじゃないかと思っていたどん底の苦痛は

時間の流れとともに少しずつ融和されていった。

本格的に受験のシーズンに入ったことも

理由としてはあったかもしれない。

誰もが自分のことで精一杯。

私は予定通り専門学校からの合格をもらい

あとは、永瀬くんに出逢う前の…

永瀬くんを知る前の自分の平凡な生活を

少しの窮屈さを感じながら過ごしていくだけ。

そう思ってた。

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下校時刻の夕方頃にはすっかり陽は落ちて

紺青の空と藍色の空気が辺りを包み込む。

いつものように下駄箱から靴を取り出そうとしたとき

そこには封筒のようなものが挟まっていた。

前にも同じようなことがあった気がする。

……永瀬くん？

でも、もう連絡先はお互い知っているし…。

なんだろう、これ。

不思議に思ってその場で開けた封筒の中に

入っていたのは、数枚の写真。

取り出してみれば

そこに映っていたものを目にした瞬間

全身の血の気がサーッと引いていくのを感じた。

なんで……？

頭の中で急激に巻き戻されていく記憶。

あの雨の日。

傘を持っていなかった、あの日。

初めて永瀬くんと目を合わせて、初めて話して

同じ一つの傘の下で並んで一緒に歩いた、あの日。

慌てて写真を捲って次の一枚を見れば

再び脳内の記憶が動き出す。

これは文化祭の日。

体育館裏で永瀬くんの話を聞いて

パンダの着ぐるみを貸した、あの日。

写真をもう一枚捲る。

今度は暑い夏の日。

夏休みに入ってすぐ…

そう、かき氷を食べたあの日。

ここに映るのは永瀬くんではなく、髙橋くんだ。

どういうこと……？

いろいろな思考が頭の中をぐるぐると渦巻く。

難しそうで、簡単なようで

はっきりと答えが見えてこない中わかったことは

最初から全部、誰かに見られていたということ。

向こうにはまだいくらでも手札はあるということ。

そして、狙いは永瀬くんではく、私だということだ。

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