アメフリレインボウー2ー (ページ39)

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#39 pouring ページ39

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針一本で支えていた不安定な心の中で

何かが音を立てて崩れていく。

とりあえず誰にも見られないよう

写真を手早く封筒にしまって

急いで取り出した靴に履き替えて足を踏み出したとき

『あ、待って！』

聞き覚えのある声に振り返れば

そこに立っていたのは例の隣の席の友達。

最近は会話することもなかったから少し驚いたけれど

同時に二人の間に落ちていた封筒に気づいて

私は慌てすぎて封筒が手からすり抜けてしまったこと

そして彼女はそれを教えてくれたのだと察した。

『落としたよ、写真』

先に手を伸ばして拾い上げてくれた彼女に

「ありがとう」と伝えようとしたとき

たった今伝えられた言葉に感じた違和感。

「え……？なんで……」

何で知ってるの…？

もしかして、さっき見られてた…？

それとも……

『何で、写真だって知ってるの？って聞きたいの？』

声を詰まらせていたところに

彼女ははっきりと私の思いを代弁した。

何も考えられないままゆっくりと首を縦に動かすと

彼女はフッと笑ったあと、楽しそうに頬を緩ませた。

『だってそれ入れたの、私だから』

笑いをこらえるように楽しげに放たれた声。

理解し難い言葉に深く濁った目が私を見下げる。

『もちろん、撮ったのも私。よく撮れてたでしょ？』

胸の内が、黒く濃く塗りつぶされていく。

隣の席でいつも優しく接してくれて、あの件の後も

唯一私を突き放すこともしなかった友達の顔が

瞬く間に全く違うものに変わっていく。

「どうして……そんなことするの？」

奇妙に釣り上げられていた唇が力を緩めて

彼女の口からは聞いた事のない低い音が

毒を持って胸の奥深くに落とされた。

『あんたがムカつくからに決まってんじゃん。』

悪意に満ちた表情や言葉や

全身から醸し出される憎しみの色。

目に見えるものだけがすべてじゃない。

そんな言葉を

私はそのとき初めて、強く思い知らされた。

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