アメフリレインボウー2ー (ページ40)

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#40 pouring ページ40

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──もしなんかあったら、俺に連絡して

永瀬くんにはあの日以来、一度も連絡していない。

何も言わなかった。

言えなかった。

きっと彼は、私以上に大変だから。

私は大丈夫。

ひとりだけど、ひとりじゃないから。

実際、ここまで耐えて乗り越えてきたし。

それは、今思えばたぶん、きっと

永瀬くんが頑張っていると思えば

自分も頑張ることができたからだ。

いつだって平然な顔をしながら

本当はたくさんのものを背負って

いろんなものと戦って、人一倍努力して

まだ高校生の身でありながら

人並みの力じゃ到底立ち向かえない壁を相手に

誰かのためにそこに立ち続けている人だから。

そんな永瀬くんを見て

私はほんの少し、強くなれた気がする。

それでも

心が痛みを背負えるのには、限界があるらしい。

──あんたがムカつくからに決まってんじゃん

鋭く深く胸を突き刺した言葉は

塞がりかけていた傷を容赦なく抉っていった。

『何であんたなんかが廉くんと一緒にいるの？

廉くんの何だっていうの？陰でコソコソ媚び売って

何企んでんのか知らないけど

そんなことしても意味ないから。』

違う。そんなつもりじゃない。

私は永瀬くんの何かでもなんでもない、友達。

だけどそんな＂普通＂さえも

永瀬くんが相手というだけで通用しないのだろう。

最初からわかってはいたんだ。

きっと、これがこの世界のリアルだと。

でもどうして、よりによって彼女が……

せめて、どこの誰かも知らない人だったら

ここまでのショックを受けることなく

傷ももっと浅く済んだかもしれないのに。

次々と降りかかる棘のある言葉たちは

途中から私の耳に届くことはなく

毒気を帯びた音だけが目の前を流れ落ちていった。

ただ最後に放たれた言葉だけは

なぜかはっきりと、心に刻みつけるように残された。

『これ以上廉くんに関わったら、全部ばら撒くから』

彼女が去っていったあと

すべての力が抜けて私はその場に崩れ落ちた。

言われなくたって、今後彼と関わるつもりはない。

そんなことできるとも思っていない。

彼女こそ、永瀬くんの何だというのだろう。

そんなつまらないことを考えながら

背後の夕空が色を暗黒に染めていくまで

その場に座りこんで地面を見つめていた。

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