アメフリレインボウー2ー (ページ29)

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#29 pouring ページ29

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制服姿のまま飛び込んだベッドの上。

手の中の小さな紙に書かれた乱雑な字を

ただ眺めるだけの時間が過ぎていく。

これは一体どういう意味だろう？

シンプルに「連絡しろ」ってこと？

冷静に考えてそれしかないか…

そもそもこれが本当に永瀬くんからのものなのか

変な自信だけはあるけれど、確証はない。

少し悩みながらもスマホを手に取り

一文字ずつ確認しながら慎重にボタンを押していけば

一度深呼吸をしてから通話ボタンに指を翳した。

耳元で響くコール音が、胸の鼓動を早めていく。

妙な緊張感に包まれながら

3コールほどでプツリと鳴り止んだ音と共に

訪れた一瞬の静寂の中で息を呑んだ。

『もしもし』

電話の向こうから聞こえてきた柔らかい声が

張り詰めていた心の糸を緩ませ、安堵をもたらす。

「よかった。永瀬くんだった…」

『は？』

「違ったらどうしようかと思った」

永瀬くんは電話の相手が私だとすぐに察したのか

いつもと変わらぬ余裕をみせるように鼻で笑った。

『誰かもわからん怪しい番号によくかけてきたな』

「その怪しい紙切れを下駄箱に入れたのは誰ですか」

そう言い返してみれば

んふふふ、と息を漏らした笑いが耳に届いた。

よかった。

思っていたより、何も変わらない。

いつも通りの永瀬くんだ。

だけど、今までお互い必要としてこなかった連絡先を

わざわざ彼があんな形で知らせてきたのは

やっぱり理由があるはずで

『……なんか、巻き込んでごめん』

静かにそっと落とされた一言は

重く響きながら身体に流れ込み心を揺らした。

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