アメフリレインボウー2ー (ページ30)

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#30 pouring ページ30

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きっとしばらくは…

いや、もしかしたらこの先もずっと

直接は聞くことの出来ないかもしれない彼の言葉。

それがこんなにも悲しく沈痛なものであることは

当然の報いなんだろう。

「…私も、ごめん」

配慮が足りなかった、とか

そんな言い訳をする気はないし

今さら何を嘆いたって仕方がない。でも、

「……あれ、デタラメだよ。ひどいよあんなの。

私はどうなったっていいけど

あれじゃ永瀬くんが誤解されちゃうよ」

彼は背負っているものが違う。

私とは違って、自分自身に降りかかる火の粉も

立ちはだかる障害も、失うものの数も大きさも

比べ物にならないくらいはずだ。

何の恨みがあるのか、ほんの出来心なのか

何の自己欲求なのかは知らないけれど

第三者に事実無根の作り話を公にされては

堪ったもんじゃない。

「ちゃんと説明すればわかってもらえるよね？」

あそこに書かれていたことが全くの嘘で

私たちは恋愛関係でもなければ

交換日記なんてやっていないし

責められるようなことは何もしていないって。

友達という関係で、ただ普通のことを──

物の貸し借りをして、時には他愛もない話をして

そんなありふれた日常を生きていただけ……

それでも現実は、私の知らない世界は

どこまでも不自由で、窮屈で

永瀬くんから返ってきた言葉は残酷なものだった。

『俺から何か発信することはできひんのよ』

表情は見えなくとも

永瀬くんはあくまで冷静だった。

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