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#Search.30 ーRenーページ30

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「れん兄！事件！」

いつもの呆けた声が

その日は慌ただしく耳元で響いた。

ネクタイを緩めていた手を止めて

一度耳から離したスマホをもう片方の手で握り直す。

「なんやうっさいなー」

家に帰ってきたばっかでしんどいってのに。

どうせたいしたことない

くだらないことだろうと思いながら

身を投げるようにしてソファに横たわり

適当にあしらうつもりが

次に海人が口にした内容は

俺にとってガチで事件だった。

海「ねーちゃん、しょう先輩に告られたって！」

「はぁ！？」

あまりにも唐突すぎて

寝転がったばかりのソファから思わず飛び起きた。

「え、なに？どゆこと？」

海「わかんない！ねーちゃん、なんか変だし。

ぼーっとしてるしピアノ間違えすぎだし

俺のこと無視するし！もうやだ！」

電話の向こうで

挙動不審になっとるのが想像できるくらい

しどろもどろに言葉を並べていく海人の話を

俺も冷静さを失った中で必死に聞いていた。

Aが平野ってやつに告られたらしいってことと

なのに何故かどうにもなっとらんってことと

そいつのこと好きなはずのAの様子が

なんか変ってこと。

「とりあえず、わかったわ」

まさかこんな早く

しかも向こうから動きがあるとは思わんくて

内心めちゃめちゃ焦った。

弟の電話は早々に切り上げて

速攻で開いた連絡先一覧から

＂なんか変＂らしい姉ちゃんの名前を探して

なんも考えずに、通話ボタンを押す。

あれこれ考えてる余裕はなかった。

何度も繰り返される機械音に焦りが募っていく。

なかなか途切れないその音を

自ら止めようかと画面に指を近づけたとき

『もしもし？』

待っとったその声が、小さく響いた。

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