恋する本屋さん６

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＜加奈 side＞





藤「ねぇ・・・!!」


加奈「…。」


藤「ちょっと!!」







カツカツカツ…







「おい！待てよ！」





後ろから腕を引っ張られて強引に振り返らされる





加奈「痛いって！！」





藤「…ゴメン。・・・なんで先行くの？」



加奈「終電、乗り過ごしたくないから」



藤「…嘘つけ。まだだろ？終電」



加奈「…じゃあ、太ちゃんだって嘘つき。・・・別に一人で帰れるから。気にしないで」



藤「…あんな顔した加奈ちゃん、一人で帰せる訳ないだろ」



加奈「…」



藤「ほら…今だって…」









そう言って私の頭にポンと手が乗った…



雅貴さんの手は違った重み









あの空間




幸せそうな２人




分かってた




今日は覚悟してきた




けど





やっぱり苦しくって…









でも、一番は…









そんな惨めな私を




太ちゃんにだけには見られたくなかった…









加奈「…手・・・どけて」





その一言でそっと私の頭から重みが無くなった






藤「・・・加奈ちゃん？」




加奈「察しが良い太ちゃんなら分かったでしょ…？」





藤「何が…？」





加奈「滑稽だったでしょ？今日の私…。 分かってるなら今日はそっとしておいてよ…」




藤「…」





加奈「同情で…可哀想だって目で見ないで…」






誰も居ない深夜の路地裏







藤「同情なんか…してない…俺は・・・「お願いだから…お願いだから、こんな惨めな私の事好きにならないでよ…」





『俺は・・・』…その続きの言葉を無理やりさえぎるように言葉を被せると







塞き止めていた結界が破けてどんどん視界が滲んできてしまって…








そんな私をじっと見つめる太ちゃん






お願いだから…そんな目で見ないで…

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