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「…っ、ぃや…!」
_____噛みつかれた、
意外にもそれは瞬時に判断でき、私は咄嗟にラギーくんの頭を押し退けた。
「…っ、?」
何が何だか分からないまま、私はラギーくんを見上げる。
「あーあ、痕ついちゃったッスね。」
呆然とする私をよそに、ラギーくんは自身でつけた噛み痕を見てニヤリと口角を上げていた。
「結構目立つんで、隠しておいたほうがいいんじゃないッスか?シシシッ」
「えっ、」
そう言われ、私は両手でパッと噛みつかれたところを隠した。
「な、なんで急にこんなこと…。」
まだジンジンと痛む首筋を我慢しながら、ラギーくんに恐る恐るそう聞いた。
しかし、ラギーくんは何か答えてくれる訳でもなく…
「…さぁ?」
と意味深長な笑みを浮かべて首を傾げるだけだった。
「「…………。」」
そしてしばしの沈黙があり_____
「…あ、その…、僕寮長にお話してきます…。」
その場の空気に耐え切れなくなった私は、頭をペコリと下げもう一度ラギーくんに背中を向けた。
…今度こそ寮長にお話しよう。
そう思い再度部屋の扉をノックしようとした時だった。
_______パサッ
「…!」
___突然、視界が暗くなった。
「…こらこら、ちゃんと隠しとかなきゃ駄目ッスよ。」
どうやらラギーくんに後ろからフードを被せられたらしい。
「え…あ、うん…。」
突然のことに驚いた私は、ラギーくんに背中を向けたままそう空返事をした。
その言葉は私の耳のことを言っているのか、それともこの噛み痕のことを言っているのか…。
どちらにせよ、やっぱりフードは被っておいた方が身のためらしい。
「………。」
被せられたフードをギュッと握りチラリと後ろを振り返る頃には、ラギーくんの姿はすっかりと遠ざかってしまっていた。
_____
___
「あ?外泊?どこに。」
ラギーくんの言った通り、寮長はベッドの上でその大きな体を気怠げに伸ばしていた。
こちらに視線を向けることもなくそう聞いてきた寮長に少しばかり臆するも、彼が私を女だと知っているためか幾分気持ちは楽でいられた。
「えっと、オンボロ寮です…。」
そう答えると、気のせいか寮長の耳が少しだけピクッと反応した。
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もちわ(2)(プロフ) - 「痛いです、フロイドくん。3」https://uranai.nosv.org/u.php/novel/mochiwa3/ 続編できました!よろしくお願いいたします。 (2021年9月9日 21時) (レス) id: 4bf11393fc (このIDを非表示/違反報告)
麦ちょこ(プロフ) - うさぎちゃん可愛いですっ!更新応援してます! (2021年7月4日 20時) (レス) id: e4f9b9f7c4 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ。(プロフ) - うさぎちゃん可愛すぎ… (2021年7月4日 17時) (レス) id: c64c0910b5 (このIDを非表示/違反報告)
ここ - 案外、料理ができない!! 可愛いッッ!! (2021年7月1日 23時) (レス) id: d3f5082d22 (このIDを非表示/違反報告)
もちわ(プロフ) - 丙ののののさん» そっちですかぁぁ!!|д゚)完璧勘違いしてました…うさぎちゃんにさらなる身の危険が…(( (2021年6月9日 8時) (レス) id: 18901004ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちわ | 作成日時:2021年5月31日 1時