いつもと違う ページ5
「明日からまた学校かぁ…嫌だなぁ。」
「成績優秀な君でも、そんなこと思うんだね。」
リビングのソファに2人並んで腰掛けて、シュークリームの袋をビリリ。
そのたまらないフォルムに我慢できなくなって大口開けて頬張ろうとした時、野坂くんはそう言った。
「そりゃぁ、思うよ。ていうかあんたの方が成績良いじゃん、サボりたいとか思わないの？」
「んー。」
私より控えめな一口を咀嚼しながら、野坂くんは考える。
そして数秒後に、ごくん。その喉仏が、ほんの少しだけ上下した。
「じゃあ一緒にサボる？明日。」
それだけを放って、またパクリ。
この人が何を考えているのか、私にはいっつも分からない。
「…え？」
成績は万年学年首位、部活でも引っ張りだこで学年1のモテ男。何でも卒なくこなしちゃって、表では淡々と真面目に過ごしている彼が、こんなことを言うとは。
まぁ、裏では“あの通り”だってこと、私は身をもって痛感しているわけだけど。
「さ…サボらないよ、これでも皆勤賞狙ってるもん。」
「そうなの？初めて知った。」
小学校でも、中学校でも皆勤賞。
健康なのが私の取り柄だ。
まぁ、1度だけ熱があるのに無理して学校に行った結果、帰宅後に酷く悪化して怒られたことはあるけど。…これは小学校4年生の、苦い思い出。
「ま、部活もあるしね。」
なーんだ、冗談か。
そう肩を落とした私の中のほんの一部分は、誰も見えない所に確かに在る。
…ふと流れる、沈黙の時間。
何だか気まずい。
この家に西蔭くんがいるって分かっていれば、こんなことにはならないはずなのに。
…いつも、何を話していたんだっけ？
「「あのさ」」
私は確かにそう言った。
だけど隣の彼の口の動きも、全く同じ。
ただ彼の声と私の声が重なった音が、リビングにストンと落とされて。
その後でまた、“やっちゃった”っていう短い沈黙。
「あ…何？」
「いや、君は？」
「ううん、私大したことじゃないから。」
「それは僕も、なんだけど。」
…ラチが明かない。
普段はもっと、会話のテンポはスラスラしているはずなのに。
どうしてこうも、変に意識しちゃうんだろうな。
「……君の好きな人が知りたい。」
「…え、」
数秒の沈黙の後、先に口を開いたのは彼の方だ。
だけどその途端、自然にしていた呼吸が瞬時に乱れて息が詰まった。
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ららん - 野坂くんのかっこよさにドキドキしてます！続きが気になります！ (2022年4月23日 8時) (
レス) id: 8ab8086b1e (このIDを非表示/違反報告)
もも - どっきどっきしてるよ〜!!!更新楽しみです('▽'*) (2021年5月6日 23時) (レス) id: 150f83a4c1 (このIDを非表示/違反報告)
絵菜 - やった〜〜続編だ！！更新待ってます！！ (2021年3月7日 13時) (レス) id: da77361163 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - とても面白いし、ドキドキしてニヤケ止まりませんでした笑更新頑張ってください！ (2020年12月27日 14時) (レス) id: 25159701e6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ - 続編おめでとうございます！このお話大っ好きです！！更新待ってます！！ (2020年11月4日 20時) (レス) id: 023268ba1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2020年9月10日 11時
