夢の後先 (ページ45)

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atosaki 45 ページ45

【you】

午前1時。

「こーちさん・・・眠い」
「だーめ」

想定の範囲内ではあるものの。結局この前と同じスペースで、この前と同じようなコトになっている私たち。

・・・いや違うな。ちょっと？だいぶ？エスカレートしてるような？

「あっ・・・」
「誰も居ないんだから声出しちゃっていいのに」
「やだ・・・」

これは本当にまずい状況なんじゃないだろうか。

キスされるのも触れられるのも嫌な訳じゃない。むしろ「もっと」って思う自分が居て。

でも、このまま流されていいんだろうか？

“Aちゃんのことも高地のことも好きだから”
“どっちにも傷ついてほしくないんだよね”

ふと過ぎった先輩の言葉。

「・・・Aちゃん？」

私・・・泣いてたんだ。

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【yugo】

「ごめん、調子乗った」
「ううん・・・びっくりしただけ」

Aちゃんの背中を擦る。

「もうしないから、ね」
「違うの」
「・・・」
「嫌とかじゃなくて、あの・・・」

Aちゃんが大きく息を吐く。

「私・・・こーちさんの、なに？」

・・・いつか訊かれる日が来ると思ってた。

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「関係に名前が無くても、そんなのはどうでもよかったの」

言葉を選んでいるのか覚束ない口調で続ける。

自分も「好き」がよく解らなかったし、解らなければ「付き合う」なんてしちゃいけないんだろうし。

だったら曖昧だろうと都合がよかろうと、お互いがよければ構わないでしょ？

・・・でも。

「さっきね、それを嫌だと思っちゃったの」
「・・・」
「好きって、こういうこと？」

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・・・もう、誤魔化せないね。

Aちゃんがどう感じるか解らないし、伝えたら全部終わりになるかもしれないけれど。

「俺も、Aちゃんのこと好きだよ」
「・・・うん」
「でも」

対等で居られる自信が無い。

「アイドルってさ、素敵な仕事なんだけど、むちゃくちゃ不安定で」

特にJrなんて明日どうなるかさえも解らない。

昔はそんなに難しく考えてなくて。お互い好きなら付き合えば？って感じだったんだけれども。

「やっぱりね。周りが落ちついてくると考えちゃって」

仕事が原因での別れもあったし。

「だから・・・さっきの質問には答えられない」

でも、俺は自分勝手だから。

「何らかの結果を出して、不安定なりに自信が持てるまで、Aちゃんを繋ぎ止めておきたかったんだ」

本当にゴメンってもう1度謝ろうと思った瞬間。

・・・Aちゃんが初めて自分から俺にキスをした。