夢の後先 (ページ31)

今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:81,004 hit

atosaki 31 ページ31

【you】

「上がりました」
「ん」
「服まで借りちゃって、ありがとうございます」
「ん」
「こーちさん、酔ってます？」

ほんのり赤くなって、フワフワしているこーちさん。控え目に言って可愛い。
でも、大人が言う「呑まずにいられない時」が今なのかと思うと、また少し心が軋む。

「お酒弱いんですか？」
「あんまり強くない」
「じゃあ、もう止めましょ？」

こーちさんの手から缶ビールを取り上げる。

「まだ結構入ってるじゃないですか」
「そうだよ。もったいないから返して」
「ダメです」

・・・そのまま残りのビールを一気に呑み干した。

-----

【yugo】

一瞬で酔いが冷めた。

体育会系なのは知ってた。知ってたけれど。
やってることがサッカー部の野郎共と変わらないってどーいうことだ。
男女ごちゃまぜの部活だとこーなっちゃうの？平気で回し飲みが日常なの！？

俺の動揺には全く気づかず、お風呂上がりのビールは最高ですね！なんて笑うAちゃん。ちょっと火照った顔が色っぽい。

・・・もしかして、見かけによらずいろいろ慣れてる感じ？

-----

【you】

「明日・・・あ、もう完全に今日か。何時にここを出れば大丈夫？」

すっかり酔いが冷めた風のこーちさんに訊かれる。

「予定ないので何時でも」
「じゃあ俺と一緒に出るか。8時くらいだけど」
「一緒に出て大丈夫ですか？」
「Aちゃんの最寄りまでなら、人少ないから平気だよ」

時間も時間だし、寝ようか？と言うこーちさん。

・・・どうしてだろう。心臓の音が早くなった気がする。

-----

【yugo】

「・・・なんでそんなに近いんですか？」

俺に背を向けて呟くAちゃん。仕方ないじゃん。兄貴んちのリビングが狭いんだから。

・・・ホントのことを言っちゃうと、俺が兄貴の部屋の床に寝るって手もあったんだけれども。

それで、今どういう状況かと言うと。

リビングに置いてあるテーブルだの置き物だのを端っこに寄せて、ダブルベッドくらいのスペースを作って。
幸いラグが敷いてあるからそのまま寝転んで、これまた幸い夏掛けは2枚あったから各々それを被っているのだけれど。

Aちゃんは壁際の端っこに寄って背中を向けていて・・・ちょっと面白くない。

もちろん、下心がある訳じゃないし、まだ良く知らない子を抱く程本能で生きてはいないし、そもそも兄貴宅で致そうとかは微塵も考えてないけれど。

・・・別れたばかりの俺は、女の子の温もりを欲してたんだと思う。