ヒーロー紅一点物語

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山の中にひっそり佇む◯◯小学校は、普段なら子供達が無邪気に校庭ではしゃいでるはず。

だが、今日は打って変わって声変わり前の悲鳴が鼓膜を揺さぶった。

Aは急いで校舎内に転がり込む。

鼻腔を燻るのは酸化した鉄の匂いに顔を歪めた。

目に飛び込む景色は予想してた中で一番最悪な結果。

口にベッタリと着いた血痕に上半身と下半身が分断した、元人間だった肉塊がゴロゴロと…見えるだけで五人。

教師は顔を青くさせているが、身を挺して子供達を守ろうとしてる。

生徒達は震えながら身を寄せて今にも卒倒してしまいそうだ。

助けられなかった。

私がもう少し早ければ、もう少し…いや、今はそれどころではない。

私は懐から札を出し、妖魔の額に取り付け念を唱える。

呪いを少しいじって妖魔を滅する私だけが扱える術。

こいつは強くない。精々苦しめ、クソ野郎。強くもないのに沢山の明日を奪った罰。

妖魔の手は空を切って苦しみながら消えていった。


「もう、大丈夫。先生方、もう少し頑張れますか？」

「は、はい、」

「あなたは救急車を呼んで下さい。あなたは生徒の声かけを慎重かつ優しくお願いします」


人間は誰か！と呼びかけても動揺で動かない。だから指名して、役割を与えなければならない。


「はい、」


彼女達は声を震わせながらもパタパタと忙しなく走っていった。


「こちら百目鬼、本部応答願います。どうぞ」

「犠牲者は確認できるだけ五名。救急は呼びましたが即死の疑いが強いので警察との連携お願いします」

「了解、管轄内の見回りに戻ってください」

「了解」




　助け、られなかっ、た――。

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