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「倒すことだけ集中しろ!!!!」
その焦るような声が耳を劈き、瞬きをした一瞬に視界に映る景色は絶望と化していた。
Aの魔術が破れ落ちていく残骸、妖術で意識の飛ばされた幼い男の子、そしてその子供を庇うように倒れ血で染まっているAの姿が網膜にしっかりと焼き付く。
自分の呼吸が荒くなるのを感じた。
「こちら緋八!男児一名、ヒーロー一名、計二名が負傷。一名は出血を伴う意識不明の重体。至急応援を願う」
「こちら本部。了解です」
ダメや、俺が今取り乱してしまったら俺だけじゃなくA、Aが庇った子供まで死んでまう。
落ち着け、落ち着け…。
疲れた身体に鞭を打ち、レイピアでAと子供を守りながら攻撃を受け流す。
自己分析や後悔をするな、そんなんしてんなら先ずは手ェ動かせ。
せめてもの救いはAが子供に催眠をかけたことだ。
意識があれば取り乱し、パニックを起こすことを避けるために声掛けをしながら守らないといけなかった。
バタバタと数人の足音が聞こえ、藤色と橙色の二つの頭を筆頭する応援と救護班に酷く安堵する。
「マナ!俺らが何とかするから流れ弾を頼んだ!!」
「すまん、ありがと!」
急いでA達に駆け寄るとAは応急処置をされていた。
右脇腹からは肉が抉れ、骨が少し飛び出しているように見える。
「まずは子供から搬送します」
「待って下さい!子供は百目鬼の催眠で眠ってるだけです!まずは怪我人から、」
「すみません。一般市民が優先という規則なので」
分かってはいた。
ヒーローより一般市民の命が優先。大人より子供の命が優先だと。
ヒーローは助ける立場であり、命は平等と言いながら常日頃から取捨選択を迫られる。
「ぐわぁぁあ!!!」
敵がリトの拳を皮切りに崩れ落ちてゆく。
「マナ!」
「A、ごめん…ホンマにおれ……」
星導が俺を呼ぶが声などは入ってこなかった。
己の無力さが腹立たしくて視界が滲む。
敵を一体倒せず仲間も負傷させてしまったことが悔しい。
救護班が担架で雪のように血の気のないAを運んでいった。
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焼き餅もちもち(プロフ) - 美泳さん» 全然気付きませんでした…ご指摘ありがとうございます! (2月2日 22時) (レス) id: 2dcf268308 (このIDを非表示/違反報告)
美泳(プロフ) - コメント失礼します。概要のところに書いてあるヒーローたちの名前なのですが、akgくんだけ抜けてるように見えるます。気のせいでしたらごめんなさい。 (2月2日 8時) (レス) id: 69c64fedee (このIDを非表示/違反報告)
焼き餅もちもち(プロフ) - 仁科さん» ありがとうございます!ご期待のそえる出来になるか分りませんが、今日中に投稿めざして頑張っているので少々お待ち下さい! (1月27日 10時) (レス) id: 2dcf268308 (このIDを非表示/違反報告)
仁科(プロフ) - 成人式のお話とても楽しみです…!! (1月24日 22時) (レス) @page27 id: 81dc20dea8 (このIDを非表示/違反報告)
焼き餅もちもち(プロフ) - 左右田湊翔さん» リクエストありがとうございます!遅くなりそうですがやらせていただきます! (1月23日 20時) (レス) id: 2dcf268308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちびーむ | 作成日時:2024年1月3日 21時