虹色の花束を捧げる

ミセバヤ 【🌸】 ページ34

差し込んでくる朝日に触発されて、
ゆっくりと瞼を持ち上げる。

ぼやぁ、ぼやぁ、とフィルターがかかったかのように
目の前が薄く白くなっている。

仕事行かなきゃ、と身体を起こし、
ふらふらとした状態で玄関を出ようとすると
キッチンで壁にもたりかかりながら
水を飲んでいたらんくんに声を掛けられる。


『A？体調悪そうだけど大丈夫なの？』

「あ...らんくん、おはよ」


多分大丈夫だから、らんくんは寝てなね。

体調悪いのがらんくんに本格的にバレたら
きっと、いや絶対休まされる。

逃げるようにそそくさと家を出て会社へ向かった。


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コンビニで買ったミルクティー片手に
会社の屋上で休憩を取る。


「なんか酷くなってる気がするんだけど...」


これはらんくんからのお叱り確定だな、なんて
呑気なことを考えながら、残りの仕事を片付けようと
伸びをしてデスクに戻ろうとするも足を踏み外し、
階段から宙へと身体が投げ出された。

あぁ...目の前の人...ごめんなさい...

一瞬見えた人には見覚えがありながら、
会社にまで来るわけないから人違いだな、と
冷静な判断を下して、そのまま意識が飛んでいった。


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んん、とほんの少し呻きながら身体を起こそうとするが
腰のあたりがずき、と痛む。

会社の医務室じゃない、私の部屋。

ドアノブがくるりと回されてドアが開く。
現れたのは案の定らんくん。


『A！身体は？体調は？大丈夫？無理してない？』


起きた途端の質問攻め。
わ、わ、と慌てていると逆にらんくんが落ち着く。


『ごめん、急にびっくりさせちゃったね』

「私こそ、ごめんなさい...」


なにが？A、何も悪いことしてないよ、と
隣でご飯を用意するらんくん。


「らんくん、心配してくれてたのに、
　誤魔化して会社行ってその挙句倒れて...」


ほんとだめだね、私、なんて笑いたくもないのに
自らに当てた嘲笑が溢れ出す。

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