虹色の花束を捧げる

赤チューリップ 【👑】 ページ31

街頭も何も周りにない。

自分で連れてきたくせに、わぁっ！なんて
瞳をきらきらと輝かせている。

展望台の柵から身を乗り出すくらい
街明かりを見ているみことくん。


『Aもおいでっ！』


めっちゃ綺麗！
とはしゃぐみとこくんは本当に少年みたい。

仕事終わりにご飯食べた帰り。
ちなみにご飯はパスタとピザだった。
みことくんのおすすめのカフェの。
美味しかった。


「わ...ほんとだ...」

『でしょ？！』


普段こんな場所なんて来ることないから
新鮮でとても楽しい。


「今日いっぱいありがとうね。
　ご飯すごい美味しかった」

『俺も！』


また来週の月曜から仕事かぁ、なんて
考えたくない事実が頭をよぎる。

なんだかんだみことくんがいるから
ずっと仕事続けてるみたいなとこはある。

高校から一緒で、会社も一緒で。
そう考えたらだいぶ長い付き合いだな...


『ねね、A？』


名前を呼ばれ、ん？と隣に視線を動かす。
背中に収まりきっていない花束。


「みことくん、見えてる」


視線で何なのか分かったのか、
え、うわぁっ！と漫画かのような反応。

いつも通りのみことくんすぎて
思わず笑みがこぼれる。


『ごめん、かっこつかなくて...』

「大丈夫、そんなみことくんが好きだから」


それ、私に？見せてくれない？

うん...、Aに。
とおずおずとした様子で差し出された花束。

向日葵、ミモザ、マーガレット...
黄色い花がたくさんの花束に
赤いチューリップが３本。

ふわりと香る花の甘くて、爽やかな
なんとも言えない匂いが鼻をくすぐる。


「みことくん、赤いチューリップってさ」

『...うん、多分想像してる通り』


暗くても分かるくらい赤い頬。


「...断られるとでも思ってる？」

『...ちょっと、？』

「さっきそんなみことくんが好き、
　って言ったの忘れたの？」


こちらこそよろしくお願いします。
なんて、畏まってるの私たちらしくないね。

みことくんがドジしてそれを一緒に笑うくらいが、
それくらい緩いのが丁度いい。

今だってほら。
２人で花束挟んで笑ってるでしょ？

告白も、プロポーズも。
私たちらしく。





＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
赤チューリップ 愛の告白

３本 あなたを愛しています
　




＿＿＿＿＿ Special Thanks ＿＿＿＿＿

リクエスト者 りーちゃん 様
　

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