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宣戦布告を受け動いた徳川家康。提出された旗印には"誰かを倒す"と記されており、無差別攻撃を仕掛けるつもりらしい。
「とにかく家康を動かしたのは、間違いなく信長。どうするつもりだ?」
黒田くんの言葉により注目を集めた織田くんは「天下を獲る」と言うだけで具体的なことは何も話さなかった。彼自身もどう動いて良いのか分からないと言ったところだろう。不特定多数が標的になったことにより緊張感が張り詰めた中での生活が始まった。それも誰かを倒す度にまた同じ旗印が出されていったのだ。特進クラスの皆も限界を感じていた。
「俺らこのままあいつの手の上で踊らされんのか。」
「うるせえよ猿。キーキーキーキー騒いでんじゃねえよ。」
「お前やろ?うるさいのう!」
「うつけども!!」
教室が騒がしくなってきたところで織田くんがそう叫んだ。
「安心しろ……俺が天下を獲る。」
頼もしかったこの言葉も今では不安を煽る要素でしかなさそうだ。衝突していた皆が一斉に織田くんを批判する。みやびちゃんが策があるのかと聞くと暫く黙り込んだあとに勢い良く立ち上がった。
「和の心を持って、天下を獲る!」
「和の心ってなんでしょうか?」
「…………なんだと思う?」
徳川一派が有利な状況は暫く続きそうだ。再び騒がしくなった皆に「落ち着け。」と制したのは上杉くん。止めに入ったは良いものの井伊くんに煽られ殴り合いに……と思ったところで織田くんは2人の手を取り握手させた。
「手を取り合ってそっからどうすんねん?」
「そこからは貴様らが考えるのだ。」
「エンドレス!!」
切羽詰まった状況ではあるがこんなやり取りが出来るうちは割と平和なのではないかとさえ思えてくる。そこに黒田くんが策が浮かんだと一石を投じた。
「家康に勝つためには家康からの指名を受けることが絶対条件。」
負ければ旗印戦に参加する権利を奪われるため、旗印を掲げた者は絶対に勝たなければならない。
「このクラスでその権利を失ったのは、加藤だけ。」
「そうくさ。」
みんな教室の後ろから入ってきた加藤くんの方を向いたが、豊臣くんはなんだか気まずそうに目線を逸らしていた。
「そぎゃん顔ばすんな。この加藤清正に勝った男が。」
「う……うるさいねん!俺に負けたヤツがいっちょ前な口利くなや!」
「ふっ、それでよかくさ。」
いつもより歯切れの悪い豊臣くんが、加藤くんが去ったあとの嬉しそうな豊臣くんが、少しだけ……ほんの少しだけ、可愛く見えた。
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もちゃ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます。こだわってるところ褒めていただけて光栄です。楽しみにしてくださってることも嬉しいです、ありがとうございます。 (2022年9月9日 3時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ございません。好きと言っていただけて嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります。 (2022年9月9日 3時) (レス) @page22 id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
みー - このお話の2人の距離感が私も好きです!これからも楽しみにしています! (2022年9月5日 10時) (レス) id: ef372782cb (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年8月16日 23時) (レス) @page19 id: 2a8d4606f0 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - moka、さん» コメントありがとうございます。試行錯誤しながらですが最初のうちは近すぎず遠すぎずを目指しているのでそんな2人の距離感を好きって言ってもらえて嬉しいです。感想、お気遣い、ありがとうございます。 (2022年8月11日 2時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちゃ | 作成日時:2022年7月29日 15時