03 ページ3
「ぶどうの収穫1番の県分かるか?」
「ありがとうございます。我が故郷山形。」
伊達くんが手を挙げてそう答えると不服そうな後ろの席の武田くんが口を挟む。
「ばかってぇ。ぶどうは山梨に決まってるら、アホけ。」
「武田、おめぇごしゃくぞ?」
「何を言ってるべぇ、ばかってえ。おまんぶっさらうぞ。」
方言ばかりでいよいよ何を言っているか分からなくなってきた。黒田官兵衛のツッコミが入り、上杉謙信も割って入る。
「まあまあ、落ち着いて2人とも。どちらのぶどうも甘くて美味しいですよ。」
「黙れ上杉」
武田くんと伊達くんの声が重なる。仲が良いんだか悪いんだか。上杉くんはやれやれと言った風に2人の仲裁を辞めた。
「ほれほれ、そこまでぶどうに愛があるなら互いに思いやれ。」
「黙れ、黒田!」
「知らんのか、ぶどうの花言葉を。花言葉は"思いやり"だ。郷土愛とは大いに結構。だが、いがみ合いなどぶどうは望んでおらぬ。」
武田くんは舌打ちをし伊達くんも自席に戻った。すると黒田くんが上杉くんに話しかける。
「ねえねえ。その歯さ、セラミック?」
「ナチュラル、あはっ。」
「へぇ〜。」
黒田くんのおかげで事が大きくなることはなくなった様だ。隣いるみやびちゃんも感心の眼差しを向けている。
「さすが天才軍師黒田官兵衛。気持ちがいいほどにスカッとしました。」
「ぶどうだけに、まあ、スカッと したんだな。」
織田くんの駄洒落にクラスの空気が凍りつく。
「うまい!」
本田くんだけが彼に賞賛の拍手を贈っていた。詳しくは知らないが、昨日のあれが要因なのだろう。そしてやっと授業が再開されると思ったら今度は法螺貝が鳴り、黒板に映像が映った。魔村という秘書が初の公認旗印が出たと告げ、生徒たちは盛り上がる。
旗印提出は______
592人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちゃ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます。こだわってるところ褒めていただけて光栄です。楽しみにしてくださってることも嬉しいです、ありがとうございます。 (2022年9月9日 3時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ございません。好きと言っていただけて嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります。 (2022年9月9日 3時) (レス) @page22 id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
みー - このお話の2人の距離感が私も好きです!これからも楽しみにしています! (2022年9月5日 10時) (レス) id: ef372782cb (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年8月16日 23時) (レス) @page19 id: 2a8d4606f0 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - moka、さん» コメントありがとうございます。試行錯誤しながらですが最初のうちは近すぎず遠すぎずを目指しているのでそんな2人の距離感を好きって言ってもらえて嬉しいです。感想、お気遣い、ありがとうございます。 (2022年8月11日 2時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もちゃ | 作成日時:2022年7月29日 15時