勇者(に憧れる子)になった女の子 (ページ12)

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1話-10 ページ12

『す、すごい理屈ですね…』

「さぁ、責任を取ってもらおうか」

『せ、責任を取るって？』

責任という言葉に恐怖を感じたよ

そう考えてるうちに、マフラーを掴まれ、グイッと引き寄せられる

「クックックッ、ちょうど実験用勇者が欲しかったところだ。お前の体を使って─」

そろそろまずいやろこれ！！

『─待っ、待って！違うんです！』

『僕は、僕は！ホンモノの…勇者じゃないんです…！』

「なにっ…？勇者では…ない！？」

『ぼ、僕はただ…、超勇者オーラム様に憧れて勝手に勇者を名乗ってただけで…本当は、小さな国のただの近衛兵…』

そっと、剃っぽを向く

『雑用ばかりで、喧嘩すらしたことないし…だから、僕の称号を持ってたって弱くはなっても強くなることは─』

「な、なんだと…！？」

「返品だ！！」

『…へ？』

あぁあ、やっぱり。ストーリー上でもやっぱり罪悪感しかない

「返品だと言っているのだ！こんなまがい物、突き返してやる！おい、ニセ勇者！行くぞ！」

『ど、どこへ…？』

「ココロ銀行に決まっているだろう！称号を取りだしにゆくのだ！」

『やっぱり悪魔って勝手だ。無理やり僕から称号を奪ったのはそっちじゃないか』

『でも、返して貰えるならラッキー！称号が悪魔のままじゃ国に帰れないもんね、やっぱり称号は自称でも勇者でいなくちゃ…』

『って、あれ？僕の称号！』

背景我が友よ、数時間ほどぶりでしょうか。私の称号が悪魔風味になりました

『あ、悪魔風味！？なななんで変わってるのぉ！？』

『あぁぁあ！よく見たら、八重歯も爪も少し伸びた気がする…』

『しかも満更でもない気分なのは一体なんで！？僕のココロも悪魔風味になっちゃってるってこと！？』

『まさか、これって進行するんじゃ…』

まぁ、ストーリーをぶっ壊さない路線を考えた私の自業自得やけどな

「何をやっている。着いてこいと─」

するとマオ様はにやけ、

「ほほう？その称号…お前、いよいよ本物の悪魔になりつつあるようだな」

『ほ、本物の悪魔！？』

「ほっほっほ。面白い結果になりましたな、坊っちゃま…おや、ヨダレですぞ」

「ハァハァ…いかんいかん。魅力的な研究対象を見るとつい興奮してな」

『え…けんきゅう、たいしょう？』

「ふふふ…我が邪悪なる研究史に、また、1ページが書き足された」

「このペースだと、魔界時間で約666時間後に完全な悪魔になる計算だな。そうなれば、二度と人間には戻れまい」