元猿、教祖を殴るまで。【呪術廻戦】

（40）殴られた ページ44

《傑side》




…なんだろうか、高専に攻め入るつもりなのだが、



凄く違和感を感じた。



大きめの呪霊に乗って、家族の皆から集めた呪霊全てを率いて、



高専のグラウンド上空に留まってみるのだが、



何度目を擦っても、Aちゃんと悟しかいない。



30秒ほど、周りはどうなってんだ、と見渡していれば、



Aちゃんと悟が、同時に顔を上げた。



瞬間、私に笑い掛けたAちゃん。



すると、呪霊がパッタリと動かなくなり、呪霊ごと落ちていった。



…なるほど、代わりの呪霊も使えないと。



彼女は呪霊操術の使い手だと思っていたのに、



どうやら的を外したらしい。



上空5メートルほどで呪霊から降りて地面に降り立った。



意外と足、痛くないもんだな。



そんなことを思って、顔を上げる。



…瞬間、2人から十数メートル離れた場所に降り立ったはずなのに、



目の前に迫ったAちゃんに顔面を殴られた。



…うん、情けないことに、



ここから札だらけの部屋に閉じ込められるまで



全く持って記憶がない。



椅子に座らされ、背もたれを挟んで腕を縛られている。



すると、さっきの二人、…悟とAちゃんが、



スタスタと歩いて、部屋の中に入ってきた。



私の目の前に立って早々、悟が口を開いた。








「…やぁ、傑」



「悟、久しいね」








両方にこやかに話を進めるが、



実際は全然にこやかじゃないのを肌で感じたか、



Aちゃんの顔が固まった。

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