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第三百五十二話 ページ5

『ん…あぁそうですか。何処に行くので?』

「祓い屋の…血花という人の家にです」


oh…


いやこんな偶然あり得るのか?狙ってたようで怖い。

しかし、流石に俺あそこの家の人ですなんては言えるほど彼を警戒してないわけではないので、

少し考えながらも決めた頭で声を出す。


『俺も丁度そこに行く予定だったんですよ。
よければ一緒に来ますか?』


別に人間に特別恨まれるような家ではないが、彼はなんと言うか人間とは言い難い。

いや、ベースは人間なのだが、何か混じっているようにも感じれたからだ。


変な人。


ただ一つ、それ以外に特に感じたことはない。

残念だが彼よりも不思議な存在を山ほど見てきた俺にとって今更といった感じだから。

例えば目的もわからない血の香りのあの女とか、

何処からきたのかもわからない仮面の青年だとか。


よく考えれば不思議が周りに腐る程あったことに驚きだ。

自分の呪いのことさえ細かく知らないのに、周りのことを知れるわけもないだろう。


「…良いのであれば」


彼が一度考えるように目を泳がせて、答えを返したのを見届けて髪を結び歩き出す。

いつもと変わらない帰路を名も知れない誰かと歩くだなんてどうなんだろう。

もう散々命の危機に晒されてからは何事に対してもさほど驚き持つことは少なくなった。


人間の驚きの度合いでは測れない何かを持ってしまったから。

まるで人ではなくなる自分が、ただ恐ろしくなった。


「あの、貴方は何の用があってあの家に…?」


ふと聞かれた声に目をむける。

彼は依頼者なのだろうか。それにしては異様な雰囲気であるのは確か。

憑き物にしちゃなんだかおかしいし、多分依頼ではないんだろう。


『お話するほどのものでもありませんから』


家に帰るだけの話だ。

それを一々誰かに話す価値もない。


「そうですか…すいません急に聞いて」

『いいえ。祓い屋の家に行くのであればそのようなことをお聞かれになるのも無理はないかと』


無理はない。

妖怪を祓い清めるのが俺たちの仕事。

いつまで、これが続くんだろうか。

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モブ - 好きなアニメの夢系小説見れるのすごい嬉しいです!一気見しちゃいました!いくらでも待ち続けるので‥つづきを‥っっ (2月6日 16時) (レス) id: ab7894b478 (このIDを非表示/違反報告)
ユリの花(プロフ) - 更新お疲れ様です!ゲゲゲの鬼太郎は大好きなアニメの1つなので夢小説があって嬉しいです!最近はコロナなどで不安定なご時世ですがこれからも無理せずに頑張って下さい!ずっと応援しています! (2021年2月13日 13時) (レス) id: 3da8e597eb (このIDを非表示/違反報告)
くまくまたろう。(プロフ) - 初コメ失礼します。こんなに素晴らしい作品が書けるなんて……羨まし()ゴホンゴホン…素晴らしいです……こんな作品……ハマるしかないですよ……ありがとうこざいます……これからも応援してます…… (2019年12月9日 20時) (レス) id: 92750228b4 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - マリイさん» 私は私が書きたいものを書きたいんです。最近は別の方に脱線しているという理由もありますし、これ以上作品を増やすことはおそらくないです。ごめんなさい。 (2019年11月6日 11時) (レス) id: b13316b4f3 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 5期の西洋妖怪バルモンドの小説も書いて欲しいです バルモンドは夢主を溺愛してる設定で (2019年11月1日 16時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年4月30日 13時

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