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勝手 ページ29

学校で、私は、私の髪色は、浮いている。


教師や他の生徒は私を見て、軽蔑や嫌悪を覗かせる。


私自身、それが当たり前の反応だと思うし、私も同じ立場ならきっとそうなるだろうと思う。


だから、降谷くんにも当たり前に嫌われていると思っていた。




「休みの日、とか…家で何してるんだ…?」

「最近は…勉強、かな」

「…ふうん」


ついさっき、突然降谷くんに好きな食べ物を聞かれて。答えて。


興味無さそうな反応とともに歩き出した彼の隣に、慌てて並んで。


もう真っ暗になった空と周辺をただゆっくり歩きながら。


この場限りだろう話題を、降谷くんはぽつりぽつりと提供する。


「あの…降谷くん、」

「ん?あ、道こっちで合ってるか?」

「あ、えっと、あとはこっちの道真っ直ぐ行けば…着きます…」


送ってもらうことが申し訳ない。申し訳ないから早く降谷くんには帰ってもらいたい。


それを切り出しても、切り出そうとしても、なぜだか有耶無耶になってしまって。


気づけばもう家の近くまで来ていた。


「こっちの道って、この細い道?」

「うん。ここ真っ直ぐ行けば、すぐだから。もう大丈夫だよ」


送ってくれてありがとう。そう言って降谷くんから一歩、前に出た。


早く降谷くんが駅に向かえるように私はさっさと退散しなければ。


それに。降谷くんとこんなイレギュラーな展開。私の心臓が緊張で潰れそうだ。


放課後の図書室での事だって未だ緊張が抜けないのに。


降谷くんと二人きりで、しかも家まで送ってもらうなんて、贅沢で、烏滸がましい。


「大丈夫って…。この道、街灯もなくて真っ暗だけど」

「いつもこの道通ってるから慣れてるよ」


また明日。そう言おうとして。

するりと降谷くんが横を通り過ぎたから、飲み込んだ。


「危ないから、家の前まで送ってく。もう家、近いんだろ」

「あの、でも…」


降谷くんは、私の言葉に耳を貸すつもりは更々ないらしい。


本日二度目。さっさと歩き出した彼の後を慌てて追いかけ横に並ぶ。




思い上がりでも、思い込みでも、何でもいい。なんて間抜けな考えだろうと私自身笑ってしまう。


少しは、嫌われていないのかもしれないなんて、そんな事。


嫌われていてもいい。今までそう思っていたし、それは今でも変わらない。


勝手に期待して、勝手に喜んで。


ああ、やっぱり私は馬鹿だなあと笑ってしまう。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零
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かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時

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