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冬の前 ページ26

秋なんてたぶん一瞬だと思う。


少し前は朝晩だけ少し肌寒くて。日中はまだ夏が尾を引いていた。


けど最近は日中もカサついた冷たい風が吹いて体温を奪っていく。


冬はもうすぐそこだ。


「最近また成績が上がったの」

「へえ。すごいな」


夏休みに出会った吉岡とこうしてコンビニで会うのはもう何度目だろう。


学校で目を合わすことも話すこともないのは相変わらず。


「本当に。降谷くんすごい」


きらきらと輝かせる瞳と表情はまるで子供みたいで。思わず笑いが零れてしまう。


「いや、成績が上がるのは吉岡の実力なんじゃないの?」

「結果はそうかもしれないけど。

降谷くんが教えてくれた暗記の仕方とか勉強方法のおかげだよ」

「そっか」


当初はやりすぎたかなと少し不安があったけど。

最近の吉岡を見ていると、ゼロと関わらせてよかったなと思える。


「でもまだまだ下位だからもっと頑張ります」


ぐっと拳を握り吉岡はそう宣言した。


束の間。


二人の間にびゅうっと冷たい風が吹いて身震いをする。


「さむっ」

「コンビニもおでん出し始めたしもう冬だね」

「なんか、あっという間だな」


ふと視界に捉えた金と黒。完全なプリン頭だ。


「染める染めるって言って、まだ染めてないな」

「完全にタイミング見失っちゃった」


照れくさそうに頭頂部をポンポンと叩く吉岡に「なら、今染めるやつ買っちゃえば?」と提案してみると、


「名案」


ハッとした表情と目が合って。


彼女は颯爽とコンビニ店内へ入っていった。


吉岡とは結構仲良くなれたと思う。


だからというわけではないけど、出会った頃の吉岡と、今の吉岡は少し変わったような気がするなと、

吉岡の背中をぼうっと見つめてふと思った。


何が変わったとか、細かい変化に気づけるほど長い付き合いじゃない。


でも、ただなんとなく。


出会った頃に比べて、生き生きしているなぁと思う。


それは俺がただ感じてるだけで、吉岡自身は特に変わりはないのかもしれない。


仲良くなったから、打ち解けて色々な顔を見せてくれるようになったのか。


吉岡の中でいい方向に変わり始めているのか。


わからないけど、でも、前よりもいい表情になったと思うのは間違いではないはず。

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かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時

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