48 こういうやり方 ページ48
「わたしの荷物そろそろ返してほしいんだ」
「それは出来ん」
また別の日。
わたしの荷物は鶴見中尉の元へ連れ戻された時に没収…もとい預かってもらっていた。無理矢理。
現金を入れてあるから、あれがないと食べ歩きに出ることはおろか、普通にお出掛けもできない。
というか旭川に来てから外出させてもらえていない。わたしの身の安全のためとはいうけど…
要するに、軟禁状態にされている。
「なんで！わたしのだよ！」
「如何にもならん。鶴見中尉からの言い付けなのだ」
また鶴見中尉…
人の物を力づくで奪うなんてやり方がまるでチンピラだよ！この間襲われたところだよ！
「ねえどうして？やっぱりわたし、これから酷いことされるの？」
Aが悲しげに目を伏せている。
よく見ると目尻が濡れている。いたいけな女の涙。
そんな姿を見て鯉登がまた猿叫を上げて部屋から出ようとする。が、キエエエッのキエ…くらいで彼の袖を掴んだので今日は逃さない。
「バケツプディングって知ってる…？」
「バケツ…！？」
逃げ遅れた薩摩隼人。
しかし唐突に話が変わったので何だ？と首を傾げた。
「カスタードプディングを、小さな型ではなく大きなバケツで型をとって作るの。東京の町で流行っているらしいよ。大きなプディングを一人占めだなんて夢見たいなお話だよねえ…」
殿方の袖をキュッと握り締める。
鯉登は試しに振り払おうと腕を振ってみるが、彼女の指はまるでピラニアの如く獲物を放さない。
細い指と腕でどうやってそんな力を…！
「…そのバケツプディングとやらを食べれば大人しく鶴見中尉殿の言い付けを守るのだな？」
Aは瞳を煌めかせ、こくりこくりと頷く。
この娘、最近はこういったやり方も覚えたようだ。
鯉登青年は出来上がった特大プディングを美味しそうに頬張るAの腑抜けた面を見ながら思った。
鶴見中尉殿は何故Aを此処にいさせているのだろう。
「最高のプディングが出来上がってしまった…」
Aはプディングを大きめに掬って、スプーンを鯉登の口元へ運ぶ。
鯉登は、はっとする。初めて会った日に揶揄われたことを思い出したのだ。
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メルテア(プロフ) - 炊きたてのお米くらいあっつあつじゃん？でもう笑いすぎて感想書いちゃいましたww主人公面白すぎるwww神作品ありがとうございます！！m(_ _)m (8月31日 8時) (
レス) @page28 id: 296f866ede (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 蛙奈さん» 蛙奈様へ。ありがとうございます！私の中で鯉登は普段ピュアピュアなのにたまに男らしさを見せるカッコイイ奴って感じだったりします！鯉登もちょいちょい絡んできますのでまた読んでいただけると嬉しいです！ (2021年10月10日 20時) (レス) id: b0de3b5808 (このIDを非表示/違反報告)
蛙奈(プロフ) - 鯉登少尉のピュアさに悶絶して思わずコメントしました…私自身鯉登少尉推しなのでとても嬉しいです！頑張ってください！ (2021年10月10日 16時) (レス) id: dbf954f045 (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 蛙奈さん» 蛙奈様へ。はじめまして！コメントありがとうございます！嬉しいです。色仕掛けちょいちょい出す予定です(笑)素敵なご感想ありがとうございました！ (2021年10月7日 19時) (レス) id: b0de3b5808 (このIDを非表示/違反報告)
蛙奈(プロフ) - コメント失礼します。とても面白いです！特に尾形の色仕掛けが色んな意味でドキドキしました！主人公の食いっぷりも読んでいてお腹が空いてしまいます。素敵な作品！更新待ってます。 (2021年10月7日 17時) (レス) id: dbf954f045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chloe | 作成日時：2021年10月5日 1時
