13 尾形ァ！ ページ13
「尾形さーん、どこまで行くの…」
彼に連れられ歩くこと数時間。雪山をな。雪はもちろん降っている。
何故師団からこんなに離れる必要があるのか。Aは正直疲れていた。
男の軍人の体力にはついていけない。手を取り歩いてくれるわけでもない。
何ならちょっと置いていくつもりなのかと思うくらいの距離があいている。
時折りこちらを振り返り観察するように眺めたあとまた歩き出してしまう。
置いてかないで…
「尾形さん…尾形…尾形ァ！」
金塊の話だって別に説明する義務があるわけでもない。お金を分けるつもりも別にないし…
それでもこの人の言うことをきいた方が良い気がなんとなーく、する。だから付いてはきたけど。
いやどこまで行くんだよ。
さすがにちょっとムカついて名前を叫んだ。もう朝だって気付いてる？明るいよ！戻らなくていいのか。
「黙れ」
慌てた様子で駆け寄ってきた尾形に再び口を塞がれた。
山の中で大声はまずかったようだ。
それにしても降る雪の勢いが増してきている。もう町へ帰りたい。
「じゃあ置いてかないでよ」
「……」
何で黙るのか。目がどこを見ているのかわからない。斜め上の方を向いていて、何だか猫みたいだ。
本当は金塊の話が聞きたいのではなく、雪山にわたしを捨てにきたのでは？
「あそこ…」
指をさす。その先には大きな木。下に入ると陰になって雪を凌げそうだ。あそこで休もう。
その提案にはなんとか乗ってくれた。枯れ草を集めて軽く敷き詰めるとそこへ腰を下ろす。
謎めいた男と二人、雪の中。お腹も空いてきた。
美味しいものをたくさん食べるはずが、どうして…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ゴールデンカムイ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メルテア(プロフ) - 炊きたてのお米くらいあっつあつじゃん？でもう笑いすぎて感想書いちゃいましたww主人公面白すぎるwww神作品ありがとうございます！！m(_ _)m (8月31日 8時) (
レス) @page28 id: 296f866ede (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 蛙奈さん» 蛙奈様へ。ありがとうございます！私の中で鯉登は普段ピュアピュアなのにたまに男らしさを見せるカッコイイ奴って感じだったりします！鯉登もちょいちょい絡んできますのでまた読んでいただけると嬉しいです！ (2021年10月10日 20時) (レス) id: b0de3b5808 (このIDを非表示/違反報告)
蛙奈(プロフ) - 鯉登少尉のピュアさに悶絶して思わずコメントしました…私自身鯉登少尉推しなのでとても嬉しいです！頑張ってください！ (2021年10月10日 16時) (レス) id: dbf954f045 (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 蛙奈さん» 蛙奈様へ。はじめまして！コメントありがとうございます！嬉しいです。色仕掛けちょいちょい出す予定です(笑)素敵なご感想ありがとうございました！ (2021年10月7日 19時) (レス) id: b0de3b5808 (このIDを非表示/違反報告)
蛙奈(プロフ) - コメント失礼します。とても面白いです！特に尾形の色仕掛けが色んな意味でドキドキしました！主人公の食いっぷりも読んでいてお腹が空いてしまいます。素敵な作品！更新待ってます。 (2021年10月7日 17時) (レス) id: dbf954f045 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Chloe | 作成日時：2021年10月5日 1時
