ファン家のマンネは紅一点 ５

少し前の話 ページ24

A視点





『ジュニが死にそう』





と、シャワーから出た私宛にホシヒョンからカトクが届いたのは、昼の二時を回ったところだった。

ドライヤーのスイッチを入れながらどう返信しようか迷う。

ホシヒョン、日によるけれど私に対しての発言が非常にオーバーだったりする。



つい三日前にも「足を怪我した！」とかなんとか言って、ごくごく小さな、今どき小学生でも放っておくような擦り傷をわざわざ見せに来た。

しかも深夜一時に。


この間は「大火傷を負った！」と騒いだ顛末をよくよく聞けば、熱いラーメンを食べて口の中を火傷しただけだった。



ホシヒョンと同じくお姉ちゃんがいるスングァニもかなりの構われたがりだし、姉がいるとこんな感じなのかな。

スングァニはともかく、私はホシヒョンより年下なんだけど……



そんなホシヒョンも、自分が本当に不調の時はまるっと隠してしまう。

どうでも良いような事ばかり私に言ってくるくせに、本当に助けてほしい時は絶対に口にしないから困ったヒョンなのだ。



だからホシヒョンからこう来たところで、素直に「大変！」とは思えなかったりする。

体力お化け且つメンバー随一の健康優良児ムンジュニが死にかけ……うーん、どうも嘘くさい。



でも、朝に会社で出会ったソクミナが「ジュニヒョンが不調？らしいよ？」なんて曖昧な事を言ってたっけ……

不調ってダンスとか歌とかそういう事なのかと思ってたけど、もしかして体調の事だったのかな。



まだ半分も乾いていない髪の毛から手を離し、一旦ドライヤーを切って、ミョンホへの通話ボタンを押した。





『もしもし、A？』

「ミョンホ、さっきホシヒョンから、」





そう言いかけたところで遠くの方から『Aだ！』『ハオ！貸して！』とごちゃごちゃ音に混じって、いろんな人の声が聞こえてくる。





『もしもし？A〜』

「ホシヒョン？切りますよ」

『ま、待って！あっ……ジュナ！ジュナが！』

「どのくらい死にそうなんですか？」

『かなり！』

「切りますね」

『なんで！』


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