ファン家のマンネは紅一点 ５

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探検がてらフロントで館内図を貰い、赤い油性ペンで丸を付けられたエレベーターに乗り込む。


目的の階まで上がって扉が開くと、そのすぐ正面にコンシェルジュの格好をしたお兄さんが立っていたからちょっとびっくりしてしまった。


恐る恐るエレベーターから降りると、お兄さんがどこかのヒョンの様に流暢な英語で話しかけてくる。



とりあえず聞き取れた「ルームキー」という単語を頭の中で拾い、バッグの中から取り出したカードを渡すと、なにやらパソコンを操作し始めた。

こんな事ならもっとシュアヒョンやボノニから英語を習っておけばよかった。

いつもどれだけ二人に頼っていたのかよく解る。

今まで何も困る事がなかったけど、そんな事に気付かない程二人にまかせっきりだったみたいだ。反省。




それにしても、あっちのプールに行った時はこんなことをしただろうか。

うーん……みんなで一緒に行ったから覚えてない。

もしかしたら追加料金でも取られるのかな。
会社の経費か副社長のポケットマネーを期待しておこう。





パソコン画面と睨めっこしているお兄さんは、一番上までネクタイを締めあげてるけど暑くないのかな。

汗一つかいてないからロボットなのかもしれない。





そんなくだらないことを考えながら見ていると、微笑みとともにカードを返却されてしまった。

「ありがとうございます」とこの国の言葉で伝えたけど、ちゃんと言えていただろうか。

お兄さんは何も言わずに会釈だけを返してくれた。





ガラス窓が張られた廊下を道なりに進んで行くと、そこには皆が泳いでいた場所より一回り小さいプールが現れる。



誰もいないのが不思議ではあるけど、フロントのお姉さん曰く穴場らしい。

お互い片言の英語で話していたせいで本当にそう言っていたのかは怪しいけど……





日傘を広げてぐるりと一周し、プールサイドにしゃがみ込む。





プールを見下ろすと、太陽の光を反射して水面がキラキラと輝いていた。

その部分だけを切り取ってしまえば宝石にでも見えそうだ。



サンダルを脱いでその煌めきに足を伸ばし入れると、思っていたよりも水は冷たかった。


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