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さほど特別感も無く、皆なかなかの通常営業っぷりだ。
言って欲しかった言葉はシュアヒョンから嫌というほど言って貰えたし、今更この姿にうるさく言及されても困ってしまう。
それよりもさっさとくじを引いて、まあまあ不機嫌な長男たちの空気を和やかにしたい。
スングァニの持っている封筒の中に手を入れて、中に入っている紙をかき混ぜるように動かした。
__「これ、当てた人が何か特典あったりする？」
SG「エスコートする権利ですけど？」
__「それだけ？」
JH「可愛い恰好した可愛い妹の隣に立つことの何が『それだけ』なんだよ」
__「わあ……ハニヒョン、今からでも紙入れる気とかないの？」
JH「入れる」
JS「僕も」
SC「だからダメだって」
JH「クプスはなんで今日はそんなに頑ななんだよ」
SC「いつも良い所はオレ達が掻っ攫ってるし、弟達もたまにはご褒美が必要だろ」
__「ご褒美……？」
スンチョリヒョンが「早く引け」と胃を痛めてそうな顔をしたから、紙を選んで一つだけ中から取り出した。
周りを囲んでいる人達が口々に誰だと急かすので、二つに折られたそのメモ用紙をゆっくり開いて、名前を口にする。
「バーノン」
紙に書かれてあった名前を呼んで本人に目を向けようとした瞬間、力強くガッツポーズをしたスングァニが、持っていた封筒をぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱の中に勢いよく投げ入れた。
スングァニの喜び様を見ると、今晩のご飯でも賭けていたのかもしれない。
JS「A、くじ運が良いね」
DN「この場合は誰だと悪い事になるんですか？」
JH「ボノナ、ちょっと隣に立ってみて！」
ハニちゃんがボノニに「おいで」と手招きすると、一人で大盛り上がりを続けるスングァニのハイタッチを受け流しながら、ゆっくりとボノニがやって来て隣に立った。
私達を置いてヒョン達やディノがあれこれ言っているけれど、確かにちょうど良い身長差な気もする。
__「ボノニは嫌じゃない？」
VN「何が？」
__「エスコートするの」
VN「ううん、全然」
__「それなら良いけど」
VN「……ねえ、A」
__「ん？」
私達を置いてけぼりにして話し合っている人達を眺めていると、ボノニが内緒話をするように、私の耳元へ口を寄せる。
小さな声で「似合ってる」と言って離れた顔は、少しだけ照れているようにも見えた。
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作者名：せの
| 作成日時：2019年8月22日 10時
