６ ページ15
.
と、言ってもほとんど食べつくしたのはウジヒョンだ。
身長こそ低いけど、その実身体の面積は私より大きい。
ミンギュを見ても当たり前に「デカいな」と思うくらい、ウジヒョンを見て「デカいな」と感心することが結構あったりする。
机の上の、少し高そうな料理を粗方片付けたウジヒョンが「よしっ」と大きく頷いた。
「まだ何かあるんですか？」
「まだ何か食べたいのか？」
「これ以上食べたら死んじゃいます。結局デザートまで行きつかなかったし」
「そうか。じゃあ、寝ろ」
「はあ……？」
「ここで寝ていけ。オレのベッドはダメだぞ、ボノニの方を使え」
「ちょっとウジヒョン」
「良いから早く潜り込めって」
そう言ってヒョンが私の首根っこを掴んで、ベッドの上に放り投げた。
スプリングの効いたベッドが沈み、ぶわりと浮き上がる。
ボノニの着けていた香水の匂いがその空間に膨らんだ。
「寝るなら自分の部屋に、」
「いいから」
「それにまだお昼で、」
「オレがおやすみって言えば夜になるし、寝る時間だと言えばそこがお前の就寝時間だ」
「ウジ様だ……」
「ほら、布団被れ」
足もとに畳まれていた上掛けを、ウジヒョンが持ち上げて私の頭まで雑に覆い隠した。
それを慌てて目元まで下げる。
隣の、自分のベッドに浅く腰掛けたウジヒョンが、組んだ指を膝に置いて私に問いかけた。
「なあA、お前知らないのか？」
「何がです？」
「人間っていうのは寒さと空腹、それに寂しさ。その三つにどうしても弱い生き物なんだ」
「……うん」
「一つが欠けてもたいした事は無いよ。誰だって一つくらいはいつも欠けてる。でも、今のお前は三つとも欠けてるだろ？」
「そうかなぁ」
「そうだろ。逆に言えば、三つ全部が揃ってれば楽になる」
「……だからお風呂で身体を暖めて、ご飯を食べて、寂しくないようにウジヒョンが一緒に居てくれたってこと？」
「そう。だからこれで、怖い夢は見ない」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 866人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せの
| 作成日時：2019年8月22日 10時
