泣.キ.虫.カ.レ.シ - 南 倉 -

泣き虫08 ページ10

そう言って、
浜野と速水を後にした。


「……俺だって、悩んでることあるっちゅーの……」

「……浜野くん」



そんな2人の会話は、聞こえない。



.



「篤志、もう準備は万端か？」


「あぁ、当たり前」



そう父と会話して、二階へ上がる。



「……篤志には、悪いことしたな」


「大丈夫よ。
だってあの子、あまり悲しそうに見えないわ……」




すっからかんになった、俺の部屋。

もう、
今日寝るためのベッドと、
それと勉強机、
俺の荷物が入ったダンボール箱しかない。



俺はベッドにダイブした。


(はぁ……)



そして小さくため息。



顔を横に向けると、

ちょうど机の上にたっている写真が見えた。



山菜にもらった、

倉間と俺の、ツーショット写真。



懐かしかった。

戻りたかった。

会いたい。


倉間に、会いたい。



「……倉間」


そのまま俺は夢の中。







明日、




雷門中とさよならだ。




*

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