06 ページ12
*
リ「…A?」
顔を覗き込むと、口をぱくぱくさせていて。
あ、これやばい。
Aの出方を見守るゆず兄に、目線を送って首を小さく左右に振る。
ゆ「お時間とらせてすんません!!ちょっとうちの子、久々すぎて緊張で喋られへんみたいです!」
盛「チビロリばばあって言ったやつぶっとばすぞって言うてます」
ゆ「お客さんになんてこと言うてんねん!」
2人が何ラリーかしてくれとる間に、舞台に溢れる若手の後ろにAをさげて。
盛「お付き合いありがとうございました!!!」
ゆ「ありがとうございましたー!!」
拍手喝采の中、
「Aー!!」「がんばれよー!!」という声が聞こえてるのか聞こえてないのか、
暗転と同時に、俺の腕の中でAは意識を手放した。
リ「ちょっと急ぎすぎたすかね」
ゆ「さすがに無理矢理すぎたか」
盛「でも俺ほんま感動したわ、、」
稲「お客さんの声、届いとったらええなあ」
畳の楽屋で、眠るAを見下ろして反省会。
過呼吸を起こしてたけど、落ち着いたのか寝息が響く。
稲「パニック障害、ってやつなんやろなあ」
リ「剛さんのやつすよね、治るんすよね?」
ゆ「治りはするやろけどなあ、、」
盛「…ほんま本人次第すよね」
リ「…もう一緒にやれんとか、、ありえんやろ」
ゆ「それは俺らが決めてええことちゃうやろ」
リ「まあ、そうすけど、、」
ゆず兄の言葉に、ぐうの音も出ん。
今日、舞台にあげたいっていうのは俺らのわがままで。
ちょっとでも、あの光の中に立ってほしかった。
Aを待ってる人がいっぱいおることをわかって欲しかった。
このままほっといたら、ここからおらんくなりそうで。
ゆ「とりあえずどうすんねん、こいつ」
リ「家運びます、今日ほんまありがとうございました」
ゆ「ええねん、そんなん。俺もやりたかったことや」
稲「Aちゃんとご飯行きたかったなあ」
ゆ「……明日お前ら大阪か?」
盛「はい、大阪8ステです」
俺らの予定を聞いて、ニヤリと八重歯を見せたかと思うと、
ゆ「ほんなら明日やな」
とスマホを出して。
ゆ「夜、空けとけってそいつにも言うといて」
盛「え、なに?!めっちゃ悪い顔してはる!」
ゆ「心配かけた罰や、ぱーっといこか」
265人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:よいちょちょちょ丸。 | 作成日時:2022年2月24日 10時