げいひめ。 (ページ11)

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なんで暗転せえへんねやろ

なんで見取り図戻ってこーへんねやろ

なんでゆず兄も舞台出ていったんやろ

なんで袖にいっぱいおった子らも出ていったんやろ

疑問でいっぱいの私は、急に冷気に触れた手をぎゅっと握るしかなくて。

もう今日の公演終わりのはずやのに、

マイクからもりしの声がするんはなんでやろ。

盛「…今日見に来てくれてはる皆さんに、ちょっとお付き合いしてほしいことがありまして」

リ「時間やばい人は帰ってもらって大丈夫です、すんません」

盛「突然舞台にこんなけ人来たらびっくりしますよね、ほんますんません」

ざわつく会場。

え、なに、、？

盛「心配してくれてはる皆さんに、、ほんま、、顔だけ、見てほしくて」

リ「すんません、勝手な話で」

盛「ほんま、、あの、、」

ゆ「お前が泣いてどおすんねん」

リ「ちょっと俺迎え行ってくるわ」

もりしの声が、ちょっと震えてるのが伝わる。

自分の体も、カタカタ震えるのがわかる。

無理、待って、うそやろ、、待って

目の前が真っ白になって、見つめてる自分の足が下にあんのか上にあんのか、よくわからん感じになる。

耳がキーンとなって、何も聞こえへん。

なんも、、

リ「A」

「……あ、リ、リ」

リ「聞こえる？この声」

「な、なんも…聞こえへ」

抑えてた手を外されて、耳鳴りの代わりに聴こえてくる。

『Aーー！！！！待ってたぞーーー！！』

『Aちゃーーーん！！！！』

『ジャンシスーー！！！！」

『元気なんかーーーー！！』

『可愛い顔見せてくれーー！！！！』

『俺らのチビロリばばあーー！！！！』

『Aちゃーーーーん！！愛してるぞーー！！！』

リ「…お客さんも、みんな、心配してくれとる」

「〜〜っ」

リ「何も言わんでええから。顔だけ、見せたって」

そう言われて、優しく手を引かれる。

動かんかった足が、一歩一歩前に進む。

影から、目がチカチカするような光の元へ。

盛「……俺、無理や、、ゆず兄たのんます、、」

ゆ「大男が泣くなよ、気色悪いのお」

足が、自分のものじゃないみたいな感覚。

私、今立ててる？

何回も立ったはずの、大好きな場所。

割れんばかりの私を呼んでくれる声。

泣いてくれてはる人もいる。

「……っ」

お礼を、言いたいのに、声が出ない。

息が、吸えない。