マンガ家が夢小説サイトにたどり着いたようです

担当 ページ5

そのコメントはまた読者に叩かれていた。


［消せなんてよくそんな酷いこと言えますね］
［荒らしは帰ってください］
［作者様、こんなヤツに負けないで更新頑張ってください！］


もうこれは読者というより信者といった感じだ。



数十分後、また作品が更新された。


「お知らせその2」

また荒らしが来ました。
本当にやめてください。


違反かもしれないので、作品をどうするか考えてました。

けれど、私のために一生懸命になってくれる読者様を悲しませたくありません。

なので、これからも更新を続けたいと思います。



私はあ然としていた。
作者のため？ 読者のため？

どっちも自分が楽しみたいのを正当化してるだけじゃん。

こんなの偽善だ。




更新されてすぐ、花子から電話がかかってきた。


『更新されたの見た？』

「うん。本当に酷い……」

『思ったんだけど、出版社に相談してみたら？』

「それいいかも。やってみる」


花子との通話を終了させ、電話帳から担当である相田の番号を選ぶ。


2回コールが鳴ったところで通話になった。


『もしもし、どうしました？』

「相談したいことがあります」

『相談？』

「後でURLを送るので、それを確認してください」

『わかりました』


私は通話終了ボタンを押し、トークで相田にURLを送った。
既読がついているから、件の夢小説を見ているのだろう。



私は相田から返事が来るまで待つ。



20分後に相田から電話がかかってきた。
私は勢いよく通話ボタンを押した。


『読んでみました。あれは出版社の不利益にもつながるかもしれません』

「そうですよね……私もあんなの見たくないです」

『サイトの運営者に会社からメールを送ってみます』

「わかりました」


相田はそう言って電話を切った。

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