第42話 君のゆめ ページ46
ンダホside*
Aちゃんと、企画探しの帰り。
袋のなかに沢山入ったもの達を抱きかかえるように運んでいた。
「全部持たせてごめん、重いでしょ」
『大丈夫、重くないよ』
ンダホくんこそ車椅子押させてごめんね、と謝る彼女に、大きく首をふって否定する。
「いやいや。なんか楽しいし、全然大丈夫」
『そっか？』
ふふ、と笑いながら、歩道橋の前を通りすぎる。
その時ふと、目を見開いて彼女が言った。
『…歩道橋、わたってみたい』
「え、歩道橋？」
唐突に呟かれたそれに、思わず素っ頓狂な声が出てしまう。
「…何で？」
『うーん、ちょっと楽しそうじゃない？高い所』
怖そうでもあるけど、と苦笑い。
『高いところから景色とか見るの、好きなんだ』
「そうなんだ、初めて知った。そういうの無理ー、って感じかと」
『意外とね、好きなんだ。それに、やっぱり私からしたら未知の場所だし』
未知の場所。
俺たちからしたら、いつかは絶対に行く場所だし、そうじゃなかったとしても、自分の意思で行くことだって可能な場所。
そこが、ひとりじゃ手の届かない場所であること。
その事実に不思議さを感じる。と共に、疑問が浮かんだ。
「ほかに、やってみたいことある？」
『え？うーん、』
傘をさして雨の中を歩きたい、ヒールを履いて歩いてみたい。
階段を上ってみたい、スケートしてみたい。
みんなと一緒の場所に行きたい。
アスレチックをやってみたい。
沢山、たくさん。
愚痴じゃなく、真っ直ぐに彼女の口から語られる夢を聞くと、こっちまで幸せな気分になってくる。
『ンダホくんは、ないの？』
「え、俺はーー」
もっとみんなを笑わせたい、美味しいものをいっぱい食べたい。
憧れの人に近づきたい。もっと楽しいことしたい。
意外とたくさん出てくるもので、自分でもびっくりしていた。
『いいね、素敵』
「ありがと！あのね、俺思ったんだけど」
『ん？』
「その『夢』、あいつらにも話してみなよ。きっと叶えられるよ、叶えてくれると思う」
「いつかAちゃんもアスレチックやろうよ、やり方なんていっぱいあるし、なんだって手伝うから。｣
｢きっと、あいつらもそう思ってる」
彼女は目を見開いた後、弾けるように笑った。
『そう、そうだね。何でもできる気がする』
「でしょ？」
『魔法みたいだね、なんか』
笑ってる君が見たいから。
楽しそうな君が見たいから。
ーー出来ることならなんだって。
第43話 日々のいたずら→←第41話 となりにいると【*LA編 完結】
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みぞれ - 頑張ってください！この作品好きですっ！ (2017年3月27日 7時) (
レス) id: 931096523e (このIDを非表示/違反報告)
有乃(あの)(プロフ) - 雪桜さん» ありがとうございます、とっても嬉しいです！これからも精進します！ (2017年3月24日 1時) (レス) id: c4fc46a459 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜 - ええとこれ好きです頑張ってください (2017年3月21日 21時) (レス) id: bd91b60462 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有乃(あの) | 作成日時：2017年3月5日 2時
