許嫁で純愛 第２章【呪術廻戦】

七十五本 ページ28

no side




「ｯ……！！」


『……』





ドサァ、と虎杖の体が投げ飛ばされる。
投げ飛ばしたのはAだ。





「おっかしいな……
A先生に攻撃は当たってんだけどな、」


『……な、が、す、の。』


「流す？」





Aは人差し指を立てて
「もう１回」と合図をした。





虎杖は頷いて拳を握る。
そのままAの顔面めがけて拳を振り抜く。





Aの手は虎杖の拳の側面を撫でる。
虎杖の拳は大きく横へと逸れた。





「えぇっ！？あー！さっきと同じ感覚！！
軌道を変えてたってこと！？」


『そ。』





Aは少し離れた所に置いてあった
ホワイトボード(小)を持ち上げて虎杖に見せる。





「んー……？
"強敵の攻撃をバカ丁寧に受ける必要は無い"？」


『！』


「てことは……
先生みたいに"軌道変更"すれば良いってこと？」


『！！』





なるほどなぁ、と呟く虎杖。
Aはボードの言葉を書き換える。





「"最初は私の攻撃を避けてみて"……
……え"っ、今散々投げられたのに！？」


『も。』


「うぅん……分かった、よろしく先生！」


『！』





ザ、と姿勢を低くする虎杖。
Aはニィ……と笑って拳を構える。





「(まずは右ストレート……
これは俺を試してるんだよな。)」





この程度なら虎杖はかわせる。
だが問題はこれからだった。


Aの攻撃速度は五条にも匹敵する。
運動能力が優れた虎杖でも避けるのは困難だ。





「ｸﾞｯ……！！
(やばい、先生の攻撃が見えないｯ)」


『 ♪ 』





勿論、怪我はしないよう加減はしているが
当たればそこそこ痛い。





「ｯここ、だ！！」


『！』





バッ、と虎杖が体を捻ってAの腕を弾くべく
腕を振り上げる。






「あれっ？」


『ざ ん ね ん。』





Aは虎杖の背後に移動していた。
そのまま虎杖の足を引っ掛けて転がす。





「おわぁっ！！」





虎杖を踏み潰すかのようにAは足を下ろす。
慌てて虎杖も起き上がってそれを避ける。


Aはさらに追い打ちをかけるように
虎杖との距離を詰めていく。





『よく、み て。』


「！」





その言葉に反応するように虎杖は右側頭部を庇う。
虎杖はその右腕を肘を支点に外へ振った。
所謂(いわゆる)、裏拳のようなものだ。





バチｯと音がしてAの拳が弾かれる。





「よっしゃ！……ｳｺﾞﾌｯ」


『ゆ だ ん だめ。』




とりあえず虎杖が投げられてひと段落ついた。

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