許嫁で純愛【呪術廻戦】

二十二本 ページ23

no side




【な、に……！？】


「だってそうでしょう？
呪術師……つまり呪いの敵になる人が
呪いそのものになっただなんて不味い。」




夏油は肩をすくめヤレヤレ、と呟く。




「Aは許嫁だと聞きましたし、
もう五条家の人間なら古式家は関係ない。」


【ｯ…………き、さ、まァ……！！！】





Aの体が大きく揺れ、
一歩、一歩と前に進んでいく。





「アイツ……Aを操れるようになってる。
てか傑、何煽ってんだよ。」


「呪いの成長は著しいね。
それはごめん。何か思わず言いたくなった。」


【諸共消し去ってくれる……！！】





振り上がるAの手。
五条と夏油が身構える。





『ｯ……！！』


【な、……体が動かない…………？】


『すき、がって……ざぜる"か…………！！
で、て、い"け…………！！』





びたり、と動きが止まる。
Aのガラガラ声が呪いを怯ませる。





「五条！これ使える！？」





ちょうどその時、家入が駆けてきて
手に持った夜蛾特製のぬいぐるみを掲げる。





「ナイス硝子！！傑！！」


「了解。」





素早く夏油がAの背後にまわり
羽交い締めをして動きを封じる。





「……耐えろよ、A。」





五条も素早くAに近寄り、額をトン、と突く。
その衝撃でAは白目になりかけ、
開いた口から黒いモヤがずるりと抜け出した。





『が…………』





抜け出したモヤは家入が持つ
ぬいぐるみー呪骸ーへと向かっていく。





モヤは長かった。
ずるり、ずるりとAの喉を抜けていく。





Aは嘔吐きながらも
微かに開いた目でそのモヤを見る。





ちょうどモヤが抜け切る時だった。
モヤの端が僅かに光った。





その瞬間、Aの目が見開かれる。
夏油の腕を振りほどいてモヤに手を伸ばす。






「「A！？」」





Aは自らの寝間着の下を破り
太ももに巻き付けられたシースナイフを取り出す。

そしてモヤを掴むと同時に
掴んだ所から少し先をナイフで切り取った。

呪力の込められたナイフだから出来たことだ。





『ｶﾌｯ…………！』





Aの口から血が溢れ出す。
五条が慌てたようにAを支える。


Aは切り取ったモヤの一部を
なぜか再び飲み込んだ。





『ﾋｭｰ……ｯ……ﾋｭｰ……ｯ……』


「A、」


「うわ、ちょっと五条！
こっちの呪骸も何とかして、動いた！」


「あ、」




五条は思い出した様に立ち上がった。

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